整形外科手術
入院3日目
朝6時過ぎ、看護師さんが部屋に入ってくる。これから24時間は飲食不可になるため、点滴が行われる。
看「昨夜は眠れましたか。」
私「おかげさまで、眠剤が効いて、朝まで眠れました。」
看「点滴の準備をしますね。」
利き手が右なので、左腕に針を刺していく。が、なかなか上手く針が入らないようだ。
そうなのだ、私は点滴の針が入りにくい傾向がある。過去にもその様な経験をしている。
両腕挑戦して失敗し、最終的に手の甲や足の甲に刺された経験もある。結構痛いのよ。そして最終的には、青あざだらけになるってわけ。
今回は結局、左手を断念して、右腕にルートを確保できた。点滴開始。
その後、主治医が病室を訪れてくれ、痛みの具合や予後の話をする。
医「松葉杖が使えるようにならないと退院は難しいよ。そうじゃないと、退院したって、家族の足手まといになるだけだからね。キツイことを言うようだけどね。」
確かにそうだ。移動も自分でできないまま家に帰っても、さらに家族に負担を強いることになるのは想像できる。
だから昨日から、先生や看護師さんは口を揃えて「松葉杖、頑張ってね。」と言っていたのだ。
手術開始は、整形外科の午前の外来診療が終わってから。早ければ13時過ぎくらいには、呼ばれるかもとのこと。
術後は、部屋が移動になるらしいので、身の回りの物をまとめておく。
その後は規則正しく落下する点滴のしずくを眺めながら、手術の時間が来るのを待っていた。
夫には、手術室に入る時間が分かったら、スマホで知らせる事にしていた。手術は2〜3時間かかる予定なので、終わる頃を見計らって、来院してもらうことにした。
13時半に手術室へ入る事が決まり、病室内がバタバタする。
ストレッチャーに移乗して、手術室まで移動する。ドキドキだが、もうどうにもできない。無事に手術が終わることを祈るだけだ。
手術室へ入室すると、そこで麻酔医から名前と手術箇所の確認を求められる。そして腕に付いているネームタグのID番号も確認。患者の取り違え防止の為だ。
今度は、ストレッチャーから手術台へ移乗。すると、酸素マスクが口に当てられ深呼吸するように言われる。
「麻酔が入りますよー。」
という声と同時に、鼻をツーンとするものが通り抜ける。もう、この瞬間意識がなくなっていた。
急に暗転した。
いや、暗転したことも記憶にない。
そして次の瞬間、意識が戻って眩しい光が目に刺さる。悪夢から目覚めた時のように、とても嫌な気持ちだ。
一瞬、自分が何処にいて、何をしているのかもわからなくて、過呼吸になっていた。初めてのことだった。
ますますパニックになる。
「手術が終わりましたよ。慌てないでゆっくり呼吸して。長く息を吐いてみて。」
と言う声が聞こえる。
浅くて早い呼吸になっていた私は、言われた通りに息を長く吐く事に集中してみる。すると、だんだん落ちついてきた。自分の状況を理解できた。
あぁ、入院していたんだった。
足の手術が終わったんだ。
手術室を後にして、戻った所は4人部屋のベッドだった。