シーネとの別れ
入院24日目
朝食後
主治医の回診。
術後3週間が経過した。
今日で右足を固定していたシーネが外れるようだ。
包帯を外して、患部をまじまじと見る主治医。
内くるぶしの手術の傷は4cmくらい。キレイに皮膚がついてる。
外くるぶし側には、プレートを入れたため、傷は8cmくらい。こちらは傷の一部が、まだ少し口を開けている状態だった。そこはテープで保護をする。
主治医からは「これから足首をどんどん動かしてね。」と言われる。
術後4週間くらいすると、患側の足の荷重訓練が始まると聞いていた。この訓練が始まると、退院が近づくのだ。
ここからが正念場である。
シーネが外れてから、松葉杖で立ってみると、右足が軽く感じられた。
まだ完全には腫れが引いていないが、少しずつ足の指は動かせるようになってきている。
でも、足首は3週間まったく動かしていない。皮膚が固く、足首はロックがかかったように動かせないのだ。そもそも動かすのが怖い。
そんな右足のシーネという保護がなくなって、なんだか無防備で怖いのだ。なので、松葉杖を使うときは、右足もサンダルを履くようにした。
浮腫んでいる右足が、サンダルに入るか心配したが、なんとかギリギリ履くことができた。
座ったり、松葉杖で歩いたり、右足を心臓より下にしていると、すぐに右足首から下がうっ血して、赤紫色の皮膚になる。そして固く浮腫んで、熱感も出てくる。
血液の循環が悪くなっているようだ。
14:00
リハビリ18日目
シーネが外れた右足首まわりを、入念にマッサージしてくれる。凝り固まった筋肉をほぐしていく。
足首を前後に動かすように言われても、ほとんど動かない。どうなってるんだこの足は。
足首を、手前に思い切り曲げてみてもらっても、90度にもいかない現実。
ベッド上でも、タオルを使って足首を積極的に動かしてみて、との宿題が出る。
リハビリの終わり際、理学療法士さんに、
「フロアー内での、松葉杖歩行ですけれど、付き添いなしには、まだならないですかね。」
とダメ元で聞いてみた。すると、
「平地の歩行は、安定感出てきましたよね。じゃあ、病棟フロアーで、トイレに行って、戻るまでの動作を確認させて下さい。」
一緒にトイレまで行き、ドアを開けるところから、手を洗って部屋へ戻るところまでの動作を見てもらった。
「うん、大丈夫そうですね。今日から日中も夜間も、付き添いなしでオッケーにしましょう。」
おぉ~!ありがたきお言葉!
嬉しいな。これで1人で移動ができる。
ここでそそっかしい自分に釘を刺す。
これで浮かれて転ばないように気をつけるんだぞ!慎重にだ。
小さいことかもしれないけれど、私にとっては、大きな自由をもらえた日だった。