発達特性のある幼児の導尿を始めることになった親御さんへ
息子の導尿を始めて間もなく1年になります。
始めた時、2歳4ヶ月でした。
当時、導尿に対する恐怖がすごくて、医師や看護師ではなく
親御さんがどう思ったのか感想を知りたいという思いがすごくありました。とくに暴れるかどうか。子供が受け入れられたかどうか。
導尿がふりかかってきて戸惑っているどなたか1人のためになれば、と思い書いています。男の子の場合ですので、女の子にはあまり参考にならないかもしれません。
導尿のイメージ「絶対暴れる!どうしよう・・」
高熱で救急外来にいき導尿をする機会がそれまでに何度もありました。処置室に連れていかれギャン泣き大暴れの末、シャワーを浴びたかのように汗でびしょ濡れになって出てくる我が子。
私は処置室の外で待たされるのですがその泣き声がすごくていたたまれない。導尿ってすごく大変で辛いことなんだな。そういうイメージでした。
※余談ですが、処置室の外で待たされるのは、「親が助けてくれなかった」と子供に思わせないために小児科ではそう配慮することが多いようです。
導尿決定当時、子供の扱いに苦労していた
2歳になり自我と発達特性(こだわり、癇癪)が出てきた息子。
1人目の子供ですし、これが「イヤイヤ期」なのかな、と思っていましたが、発達障害の片鱗が出てきていたのでした。日常生活の至る所にこだわりと癇癪があり、息子の扱いに苦労していました。
だから「こんなに思い通りにならない子供に、あんな大変な処置を1日何回もするの・・・?」
と現実のこととは思えませんでした。
導尿が決定した理由とそこで思ったこと
排尿・腎臓に関する病名は以下のとおり。
・神経因性膀胱
・両側膀胱尿管逆流(5段階中の4・5でかなり重症)
・慢性腎不全(ステージ3)かつ両側低形成腎。
元々高位鎖肛という疾患があり生後6ヶ月の時に肛門形成手術を受けていました。その手術で排尿に影響が出るかもしれないと言われていました。そして1年半以上たったときに転院して主治医が変わったのですが、そこで神経因性膀胱だから導尿をしましょうとなりました。高位鎖肛の子はこうなっていくものだから、という説明でした。うちは影響なくやり過ごせたと思っていましたし、尿路感染も起こしていなかったし尿検査にも問題はなかったので、それはそれは衝撃でした。いまの主治医の判断に疑問はありませんが、医師により判断が違うところがあるのを感じます。
そしてそこで思ったことは、『未知との遭遇がこわい』
きっと暴れる子供、それ誰が抑えるの?という問題(母子家庭のため)があり、訪問看護師さんにお願いするしかないのだけど、朝・晩、対応可能な訪問看護ステーションあるだろうか・・・
保育園は看護師を手配してくれるとのことだったけどスムーズに行くだろうか・・・
子供は虐待に近いようなことを1日何回もされて大丈夫なんだろうか、人格が歪まないだろうか・・・
当時の私のメモには「滝壺に飛び込まされるような、逃れられない巨大な渦に飲まれて行くようなそんな気分」とありました。
訪問看護師さんと契約
病院のケースワーカーさんに探していただき、朝・晩対応可能な訪問看護ステーションと契約する事ができました。家に訪問してもらい、病気の経過やこれからの心配事、どんな子供に育てたいかまで聞いてもらえました。共有できて、頼れる味方ができて、とりあえずほっとしました。
病院での導尿指導
訪問看護師さんと一緒に導尿指導を受けました。
動画を見せてもらい、マニュアルに沿ってやり方の説明をうけました。
これは大人ですがおおむねやり方はこのとおりです。
で、子供は暴れたか?やはり大暴れでした。
これは家でやるときはバスタオルでぐるぐる巻きにして布のガムテープで巻かないといけないな・・・と話してたくらいでした。大人3人がかりで何とかやった感じ。
家での初回導尿は大暴れ
初回は病院で話したようにバスタオルで巻いて布ガムテでぐるぐるに。ただそれも簡単じゃなくて大暴れ。ただ訪問看護師さん(病院へ同行してくれた方)がしっかりされていてすごく頼りになったので、不安定な気持ちにはなりませんでした。感謝しかないです。
2回目からは急に受け入れた
2回目は1回目と違う訪看さんが来られました。ただこの方も事前に会ってしっかりお話しできていたので安心感は最初からありました。
訪看さんの提案で、iPadを持たせてみることに。
そしたらなんと!
寝っ転がってiPadでいつものようにYouTubeを見出したのです。ほとんど嫌がりませんでした。
え、痛くないの?嫌じゃないの?あの大暴れはどこに・・・?
※このときの訪看さんは男性で、自分で体験するために導尿をしたことがあるそうです。それによると「痛くはないけど、すごい違和感がある」だそうです。
痛くないんだ・・・!この言葉は私の心の支えになりました。
カテーテルが入らず訪看さんも諦めた4回目
というわけでiPadさえ渡せば、嫌がらずに導尿することができるようになりました。
ところが急に入らない回がありました。小児専門でずっとやってきた訪看さんが20〜30分ねばっても入りませんでした。私の希望でもうその日は諦めることにしました。
「こういう日もある」「病棟だったら人替わってやったりする」だそうです。
ちなみにその次の回はスムーズに入りました。
一体なんだったんだ・・・
私は導尿の手技獲得に2週間くらいかかった
カテーテルをいれはじめて5センチくらいのところで尿道が直角に曲がるため、恥骨部でカテーテルが急に入らなくなります。そこを突破するのが、強く入れすぎてはいけないけれど、優しすぎても入らない。難しかったです。
角度を立てて入れるなど、訪看さんにコツをきいてだんだんできるようになりました。
導尿のメリット・デメリット
メリット・・・体調がよくわかるようになった
導尿をやってよかったことがいくつかあります。
①体調が悪くなる前に気づける
導尿は透明の計量カップで受けて、光に透かしてよく観察します。
浮遊物がないか、透明度はどのくらいか、濁りがないか、匂いが普通か(尿路感染しているときの尿は、ザリガニの水槽みたいな臭いがします。わかるかなぁ・・)
②排尿させる手段ができた
「もしかして排尿したいのに出せないのかもしれない、もう○時間もでていない!」と焦ることがよくありましたが、導尿することで出してあげられるようになりました。これは大きな安心です。
デメリット・・・めんどくさい、尿路感染症や包皮炎のリスク
うちはまだ1日4回ですが、それでもめんどくさいです。起床時、11時、16時、寝る前、とやっています。家事や食事など、やること盛りだくさんの中でタスクが増えてしまいます。
また外出時は導尿グッズを持ち歩かなければならないので荷物が増えます。導尿場所の確保も大変です。幼児のうちは寝かせて導尿するため、大きなベッドのあるトイレでかつ綺麗なところを探さないといけません。
尿路感染症になるリスクもあります。
消毒は丁寧にしますがどうしても常在菌が入ってしまうので免疫力が下がっている時等
導尿自体に尿路感染症を起こすリスクがあります。
1年間やって1回だけですが下部尿路感染症を起こしました。
そしてこれが大変なのですが導尿しているのであれば、たくさん水分をとって菌を洗い流さなければいけません。
もう一つは包皮炎のリスクです。
医師によると年頃の男の子はみんななるものだそうですが
包皮に菌が入ることにより、白いアカみたいなものが皮をめくったときに多数出てきました。びっくりして病院に電話しましたが、尿が濁りなく綺麗であれば、生理的に癒着している組織であるためアカは出てくることはあり、そんなに心配いらないようです。
そして時々、カテーテルが入りづらい&抜きづらいことが出てきます。
これについては現在進行形で起こっていまして、何か対策があれば追記します。
半年前にもなったことがあって、その時は二週間くらいかけて自然に治ったような。
今の所子供が痛がる様子はなく、尿も綺麗なままなので、あまり心配はしていません。
導尿回数の変化
始めた時は1日2回(朝・晩)で始めたものの、
量があまりにも多かったため、翌月には3回することになりました。
ここではメインではないのであまり触れませんが、日中1回をどうするかというのはかなり問題になりました。
保育園に看護師さんをなかなか手配してもらえなかったので、保育園から毎日療育先へ移動+訪問看護師さんに導尿してもらうという方法で半年くらい凌ぎ、現在は保育園に導尿のできる看護師さんを常駐で派遣してもらえたので保育園でも導尿しています。
今後について
小学校就学を目指して、通常は導尿を自分でできるように練習していくみたいです。
その時どの程度の知能なのか、主治医と相談してベストな方法を探し続けていく予定です。
最後に
思い起こすと、導尿という行為そのものではなく、
子供がいかに暴れるか、すでにてんてこまいなのにこれからどうなってしまうんだろうか、という不安が絶大に大きかったです。
病院ではなく家では案外落ち着いてできたということ、
導尿は違和感はあるけれど痛くないんだということがわかれば、少しは楽に迎えられるのではないかと思います。
これから迎えるどなたかのお役に立てたら幸いです。