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インフルエンザは欠勤できるが、生理は欠勤できない話

私の場合、毎月月末にかけてやってくる"生理"。
日本では"生理"と言葉にする時は小声で言わないといけない。"生理ナプキン"はポーチに入れて隠して持ち歩かないといけない。"生理ナプキン"を購入すると、もれなく外からは決して視認ができない厳重な梱包をされます。
それ程、この国で"生理"というものはタブーであり、恥ずかしい事という考えがあります。

日本においては、平安時代まで遡り"月経禁忌"が発端で、生理を隠す文化ができました。
1872年に"月経禁忌"は廃止されたものの、そこから150年以上経った今も、まだ生理は"汚れ"の意識が根強いようです。

でも、生理について話をする事が恥ずかしいのは、日本の女性達だけではなさそうです。
イギリスやアメリカでも60%の女性が、生理や生理の自分の症状について語ることはuncomfortableだと答えています。
でも、女性の社会進出が進むにつれ、話さざるをえなくなってきているのではないでしょうか。

私の場合は、生理開始10日前からPMSの苦痛が始まります。
症状は"死にたい"と毎日思い、頭の中に霧がかかり、集中力が欠けていき、夫に対して攻撃的になり、消化が悪くなり、下腹部と腰の痛み、微熱、頭痛、そして不眠が10日間続きます。
そして、生理がきたら今度は約3日間、出血多量、子宮痛、頭痛、微熱、睡魔、胃痛に苦しみ、5日間は出血した生理用品(吸血下着)を洗う時間が、日々の生活に追加されます。
これが私が毎月味わう生理ルーティンです。

私の友人の1人は生理痛で気を失い、運ばれた人もいたので、生理の辛さは人それぞれ違うと思いますが、それでもほぼ女性はこのような苦しみと毎月戦っています。

ですが、先日、私はまさに生理が予定日を過ぎて、いつ来るかわからない不安定な状態であり、既に生理痛は始まっており、あとは出血を待つのみといった状況でした。
そんな中で、上司から明朝9時までにすべきタスクを、終業時に渡されました。
もちろん、やるべき事なので"明日の朝にします。"と答えました。
でも、仕事を終えた瞬間、下腹部の痛みでソファに倒れ込んでしまいました。
痛み止めを飲みながら、頭の中は辛い、辛いという言葉で溢れ、でも仕事の方法を考えねばと霧がかる脳を必死に動かそうと試みました。
でもダメでした。もう限界!自然と涙がこぼれ、"こんな人生は嫌だ"と心の中で叫んでいました。

今、日本国内だけでなく、世界でも以前より"生理は恥ずかしいものでない" "辛い時は辛いと言って良い"という風潮にはなってきているかと思います。
"生理休暇"を設ける企業も増えています。

でも、実際に"生理"で休むことはできるのでしょうか。多分、私があの時、"生理で辛い。"と言えば、会社は休ませてくれたでしょう。
でも、なぜか言えなかったのです。

イギリスのあるインタビューで、インタビューに答えた女性の60%が、生理の為、休暇を取ったことで懲戒審問を受けたと述べ、半数以上(51%)が「生理に関連した病気のために休暇を取りすぎて仕事を失った」と主張しました。

女性達だけでなく、人々のなかで"生理は病気ではない。だから我慢せねばならぬ。"という意識が強いのではないでしょうか。
事実、半数以上の女性が辛い症状があっても医師や他の医療専門家に助けを求めていないという、データもありました。

"生理"である事を他の人にはバレてはいけないかのように、こそこそとナプキンを持ち歩き、"生理"のことを"あれ"と呼ぶ。
そういう社会に長年いたことで、女性達を含む世間は、女性に我慢を強いているのかもしれません。

私は当初は"生理で休む"と公にするよう心掛けていました。
私が先導を切る事で、他の女性達も後に続きやすくなるのではと思ったからです。
でも、3社でこれを実践しましたが、後にも先にも誰も続きませんでした。

「今日は生理で辛い」と言ってくれた同僚に休む事を提案しても、"いや、大丈夫です。頑張れます。"という返答ばかりでした。

"生理"に対する教育や考え方はまだまだ、どこも先進国とは言えないのではないでしょうか。
それでも徐々に変わる方向に向かっている事は事実。
そんな中でも、ボトルネックとなっているのは実は女性達自身かもしれません。

特に"我慢は美徳"だと教えられる日本。
この社会において、なかなか考え方を変える事は難しいかもしれません。
でも、我慢によって苦しみ、失うものも多いのです。
だから、"今日は生理だから休みます。"と堂々と言う必要はなくても、体調不良で休めるようになることが、重要だと思います。

生理はインフルエンザのような病気ではありません。でも、仕事に支障を出し、仕事ができない状態になる可能性は大いにあります。
そしたら、休んでいいのです。誰も生理になりたくて、なっているのではないのだから。
それを社会全体が理解すべきだと思います。

又、生理の問題は実は貧困問題にも紐づいているようです。例えば財政的な側面から生理用品を買えない若い女性もいます。
イギリスでは年間、約13万人以上の女の子が生理用品へのアクセスの不足のために学校を休んでいると推定されています。(2019年)
もし、社会に進出している私達が生理について公に話す事を躊躇わなければ、次世代の女性達をもっと生きやすく、もっと輝かせる事ができるのではないでしょうか。

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