ジミー・ペイジとフランクフルト世代(プログレッシヴ・エッセイ 第19回)
ロックの歴史において代表的なイギリスのバンド「レッド・ツェッペリン」。
リーダー、ジミー・ペイジのギタープレイの姿は魔術的。それに魅了されギターを始めた人も多いと聞く。かくいう私もその一人である。小学校5年でロックに目覚め、ギターをやりたいと思ったのがペイジの影響だった。
ツェッペリンを知ったきっかけは、父親が録画したビデオ。1988年、ニューヨークのマジソンスクエアガーデンで催されたアトランティックレコード40周年記念コンサートがフジテレビの深夜に放映されていた。そこにツェッペリンは出演。1980年に解散をしているので一夜限りの再結成である。立ち振る舞いがカリスマ的なオーラを醸し出しており、見た瞬間に虜となってしまった。
これをきっかけにギターを始め、ギター教室にも通うようになったのだが、ギターの練習をし、ツェッペリンの過去の作品を聴くにつれ、1988年のあのコンサートの演奏に疑問が湧いてきた。
「演奏、下手じゃない?」
どこかのインタビューで当時の様子をこう形容していた気がする。
「ペイジの指はフランクフルトになっちまった」
完全な悪口である。しかし世界中のファンがこの演奏を見て、
「ジミー・ペイジは終わった」
と感じたらしいのだ。
我が主宰するバンド「金属恵比須」も「高木は終わった」と思われないように練習に力を入れた。去る2024年4月27日のライヴのために猛特訓。20代後半に自主トレ用で作ったメニューを毎日怠らずこなした。
迎えたライヴ本番。指がフランクフルトになっちまった。まったく動かなかった。
日経新聞に、シニアで楽器を始める人が増えているという記事が掲載されていた。その時の注意としてこうあった。
私の指が動かなくなったのは加齢のためだったのか。弾けば弾くほど上手くなるは、今は昔。心に痛みが。しっかり休みたい。
思えばアトランティック40周年記念コンサートのジミー・ペイジの年齢は43〜44歳。同い年ではないか。もしかしてフランクフルト世代?
安心。
心の痛みも少しは癒えた。
でもしばらくはしっかり休んでいいだろうか。
【参考資料】
日本経済新聞
2024年5月8日 夕刊
「シニアサポーター 楽器 教室やレンタルで気軽に」
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