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お茶の間プログレ (プログレッシヴ・エッセイ 第16回)

近頃、牛丼チェーンの松屋でジョージア料理を提供し話題となった。専門店でしか頼むことのできなかった馴染みの薄い料理を、好みの味に調整して人気を博した。

音楽でも似たようなことが。

聖飢魔II。

ヘヴィ・メタルという70〜80年代では偏狭の音楽ジャンルを、キャラクター(人柄ではなくいわゆる「悪魔柄」)によって世間に浸透させた。お茶の間にヘビメタを浸透させた功績は大きい。


プログレ・バンド「金属恵比須」のパーパスはこれに倣い、
「お茶の間にプログレ」
としている。
幸いにして共感くださる方々が公共の電波で流していただいたりしている。目的は、「プログレ」という言葉の認知向上。音楽の詳細までは知らなくていい。とりあえず「プログレ」という言葉だけでも覚えていただきたいのだ。それこそがプログレッシヴ・ロック・シーンの存続のための一つの要素だと思っている。

そのために(というのは言い訳で楽しんでいる部分がほとんどではあるけれども)他ジャンルの方々とコラボレーションをして「プログレ」という言葉の認知向上に励んでいる。

そこで重要なのが伝え方。「プログレ専門店」のような“店構え”をしないように心がけている。

こう考えるようになったのは社会人での経験の影響が大きい。いいたいことをいうのではなく、相手の立場に立ってわかりやすく伝えなければならないのが社会人。プレゼン資料を作るスタンスである。なお、「イエスとキング・クリムゾンを聴き比べても差がわからない人に伝わるように」がモットーだ。


日本経済新聞・夕刊連載「私のリーダー論」で「世界の山ちゃん」のエスワイフード代表・山本久美氏のインタビューに共感した部分がある。山本氏は主婦出身の社長。その経歴のメリットは「一般人の感覚でメニューの意見を言える」ことだそうだ。

「長く料理を研究している人はつい専門的で凝ったものを出したくなるようです」

エスワイフードの展開する中華居酒屋の意義を考えた。

「(専門店ではなく)中華居酒屋のカテゴリーでは一般人が知っていて手が出やすい、食べられやすいものが求められているのでは」

そう考え、メニューに意見をしたとのこと。

金属恵比須では音に関して専門店レベルを目指し音作りをしているので一概に同じとはいえない。が、少なくとも伝え方を平易にして一般の方が少しでも興味を持っていただけるような工夫をし、お茶の間にプログレを浸透していければと努力をしている。

ところで「お茶の間」って今の家にあったっけ?


【参考資料・出典】
「日本経済新聞」2024年4月11日夕刊・2面

     ※

2024年4月16日発売の雑誌『モノ・マガジン』。
連載「狂気の楽器塾」ではヤマハに潜入。
パソコンで音楽が作れない金属恵比須リーダーに優しくレクチャー。

取り上げた機材は、オーディオインターフェースのスタインバーグ「IXO」。

はたしてデジタルに対応できるのでしょうか。

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