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昔、耳の中にダンゴムシを入れた話①
※はじめて「みんなのフォトギャラリー」を使わせていただきました。
感謝です。(._.)
変な話かもしれませんが、昔、耳の中にダンゴムシを入れた話をします。
皆さんは耳の中にダンゴムシを入れたことがありますか。私はあります。
結論から言って、耳にダンゴムシは入れないほうがいいです。
今回はその理由やデメリットを紹介します。
子どもの頃、住まいの庭の、誰も知らない陰りのような場所に水道の栓があって、その栓を覆い隠す、湿気を閉じ込めた重いフタをあけると、中にはうじゃうじゃダンゴムシとナメクジがいた。動き回る彼らを捕まえて、ダンゴムシを右側に寄せ、ナメクジを左側に寄せて、しっかりと仕分けするというのが、私の遊びであり、日課だった。
ある日のこと、私は、「今日もせっせとお仕事をするぞ!」と息巻いて、ダンゴムシの家の屋根を開いた。
しばらく作業をしていると、ふと「この丸まったダンゴムシは、自分の耳の穴の大きさとどちらが大きいのだろう?」という、子どもならではの知的好奇心に駆り立てられた。
私はおもむろに真珠の粒でも扱うかのような慎重な手つきで、ダンゴムシを耳の中に入れてみた。
自分で言うのも何ではあるが、それはさながら、貴婦人がイヤリングをつけるかのような、美しい所作であったろう。
するとどうだ。私の耳の穴の大きさと、丸まったダンゴムシの大きさはちょうど同じくらいで、高級耳栓のように完全にフィットした。
いや、高級耳栓なんて知らんけど。
非常に満足した私は、さてダンゴムシを取り除こうと指の先を耳たぶまで寄越して、たちまちハッとした。
頭の上に黒い雲が一瞬にしてかかったかのように、脳裏と胸中に絶望感が満ち満ちる。思えば私の人生初の絶望の瞬間だったかもしれない。
そう。耳の中に入れたダンゴムシが取れなかったのである。
取れるわけがない。あたかも鋳型と鋳物のように、私の耳の穴とダンゴムシとのあいだには、ほんの僅かの間隙もないのだ。
ああ、どうしよう。困惑。とまどい。混乱。
こんなピンチに初めてなったもんだから泣き出したい気もするし、何より強く感じていたのは、「お母さんに怒られる!!!!!」という、強烈な焦りであった。
焦って焦って木の枝を突っ込んでみる。ダンゴムシはますます奥まっていていく。ダメだ。逆効果だ。
プールから上がったときの要領で、ダンゴムシ側の耳を下にしてぴょんぴょん飛んでみる。いや、全く効果がない。
もうお終いだ。これから僕は一生耳にダンゴムシを詰めて生きていくんだ。いや、それだけじゃない。もしかしたら防御態を解いたダンゴムシが体内に侵入し、臓物という臓物を食い荒らすかもしれない。
そんな妄想するまでに追い詰められた私が取った策は、いや、それはとても策などとは言えないのだが、
「ダンゴムシなんて耳に入れていない!!!!!!」
と、自分に言い聞かせることにしたのだ。
家に帰っても
「ダンゴムシなんて耳に入れていない!!!!!!」
お風呂の最中も
「ダンゴムシなんて耳に入れていない!!!!!!」
ご飯の時間だって
「ダンゴムシなんて耳に入れていない!!!!!!」
………そう半日かけて自分に説得を続けた結果、子どもの純な心に自己暗示がかかったのか、よっぽど私がアホだったのか、寝て起きた次の日にはなんと、ダンゴムシのことなどケロッと忘れていたのである。
マジな話なのだが、そこから2年の月日が過ぎた。
②へ続く。
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