38日目
ある鳥の日記
##年3月4日
いつまでこの小さな鉄籠の中にいればいいんだろう。足につけられた鎖が錆びていた。毎晩、目から落ちる水をかけていたからだろうか。この鎖が切れたら鉄の隙間から抜け出せるだろうか。抜け出したら、遠くで悠々と飛ぶ我が仲間に混ざれるだろうか。我が主人は、それを許すだろうか。
##年4月5日
我が主人から、鎖を外し籠から出してやるとお達しがあった。なんということだ。青天の霹靂とはまさにこのことだ。うれしい!許してくださったのは何故だろう?意図が読めないことに恐怖を感じるが、それよりも喜びが心を占める。うれしい!
##年4月31日
さぁ!明日は待ちに待った日、鎖が外れ鉄籠の外へ行ける日だ!昂る気持ちを書き残すことも良いがもう1ヶ月も書いたのだから、今日は早く寝よう。
##年5月1日
素晴らしい1日だった。朝早く起きてきたご主人は、何か考え事でもしているかのようにゆっくりと鳥籠の掃除をし、磨き、歪んできた部分を押し戻した。水を飲んだ。いつものルーティンが済むとご主人は、鎖を外して鉄籠の扉を開けてくださった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?