26日目
私の大切な砦に別れを告げてきた。
家庭でも学校でも塾でもない、親も年齢も校区も成績も関係のない、学校の人も親も親戚もいない、
私にとっては唯一心が穏やかでいられる場所だった。ただの習い事と言ってしまえばそれだけだ。だけれども、ただの習い事ではなかった。
家でも学校でも話さないから、まともに話すのも誰かと一緒に行動するのも何もかも上手くできなくて、それなのに年上の人たちはすごく気にかけてくれて、まともに文字が読めない私のために、わざわざふりがなをふったり色ペンで線を引いたりしてくれた。付きっきりで教えてくれて、休み時間も遊びに誘ってくれて、とにかくずっと気にかけてくれていた。みんな優しくて。人が怖くなった時もあの人たちだけは大丈夫だった。ヘラヘラ笑って会うことができた。
私がまだここにいるのはあの場所があったから、あの人たちとの記憶が、暖かな思い出が、あるから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?