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「待ち合わせ場所としておなじみだった、鍾路書籍」(公平都市遺跡展示館)

訪問日: 2024年3月14日
場所: 公平都市遺跡展示館 企画展示室

今回は午後に時間が取れたので、ソウルのど真ん中にある展示館を訪問した。1号線鍾閣駅から歩いて3分。オフィスビルの地下1階に広大な遺跡が保存・展示されている。今回は、その一画で3月17日まで開催されていた企画展を見てきた。

企画展示室 入口

基本的にソウルの中心部にあった書店・鍾路書籍の歴史に注目した展示だ。印象に残ったのは大きく2点ある。

ひとつ目は、実際に店舗で使われていた案内図や本カバーなどの実物資料を、新聞記事やインタビュー映像などと合わせて構成していた点だ。言い換えれば、単純に書店の歴史を伝えるのではなく、そこで働いたり、訪れたりする多様な人びとの存在について考えさせるよう工夫されていた。この本屋がかつては本と人を繋ぐだけでなく、人と人を繋ぐ場であったことを感じることができた。

ふたつ目は、展示技法的な部分だが、入口で開店案内を聞いてから観覧したのち、出口で閉店案内を聞いて展示室を出るという「耳」にうったえる展示だった点が気に入った。まるで今はなき鍾路書籍に入店して、ひと通り見物してから店を出ていくような体験を効果的に演出したと言えるだろう。展示のほとんどが視覚で捉えることを前提にしている一方で、こうした多感覚的なアプローチが取られていたのはとても印象的だった。鍾路書籍の閉店は2002年だというから、実際に店舗を訪れたことのある観覧車にとっては、過去の追体験になったのではないだろうか。

鍾路書籍の開店案内放送。
この案内文を読む位置に立つと、天井に設置されたスピーカーから案内放送が再生される仕組み。
低いパネルで構成された展示空間は、適度に視界が遮られる書店内の空間を彷彿させる。


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