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小悪魔はひそかに微笑む

前回のあらすじ

我が家には宇宙人がいる。
声をかけてみるものの交信不能。
なんたって言葉が通じないのだからしょうがない。
いったいこの宇宙人は何を考え何を思っているのだろう。
私には理解不能としか言いようがない。https://note.com/lively_avocet252/n/n33be5dd71578?sub_rt=share_pw

機械式駐車場という秘密基地にあった新車という宇宙船を私が知ったのは、納車されてから1週間以上過ぎた時だった。
驚きはもちろんだが、決して口に出してはいけない。
ウワァ~趣味悪ッ!
私は運転しないからいいのだが。

さて話はこの続きとなる。
あの新車が来てから2年くらい経っただろうか。
我が家の宇宙人は特に車の運転が好きというわけでもない。
車でいつもあちこち行くという様子もない。
ところが最近突然、車を買い替えたと言うではないか!
どうやら次なる新車という宇宙船は、すでに駐車場にあったようだ。
いつからあったのかはわからない。

それから3週間ほど過ぎた先日、車で温泉に行こうと宇宙人が言う。
その日、私は初めて車を見ることになるのだが、
はて?同じ車ではないのか?
よ~く見ると、白だったボディーがシルバーに変わっていた。
ハァ~ぁ?どういうことだ?
いやいや決して口に出してはいけない。
宇宙人の行動はそもそも理解できないのだ。
何よりもこれから楽しい温泉1泊旅行が待っている。

どうやらこの新車はこの日、初めて高速を走るという。
車は渋滞の首都高を抜け、その後順調に高速道を走り続けた。
最新ナビを備えた車の乗り心地は良いのだが・・・
そこのけそこのけ高級新車が通る。
宇宙人の運転はいつもそうなのだ。

と、その時だ、
ドスン!ガガガ~ガァ~
車は左側ガードレールにぶつかり更にズリズリと鈍い音がした。
どんなに最新の機能がついた車でも、ぶつかる時は一瞬だ。
幸い周りには車がいなく、スピードは出ていたものの他車を巻き込むことなく大きな事故にはならなかった。
私は助手席でそっと胸を撫で下ろしたのだった。

新車は3面に深い傷が付き、そのうち1面は見事にへこんでいた。
しかし宇宙人には自分の非は認めないという習性がある。
いつも地球人、すべては地球のせいだという。
今回は車の自動運転に問題があると主張する。
いやいや違うだろうと思いながらも、決して口に出してはいけない。
これから楽しみの温泉が待っている。
何よりもお互い怪我がなかったこと、私が悪いとならなかっただけでも良しなのだ。

そしてその後も車は走り続け、目的地の温泉に到着。
宇宙人に落ち込んでいる様子は全く見られない。
もしやまた新しい車がなんてことは・・・ないだろうが。
いったい何を考え何を思っているのかわからない。
やはり理解不能としか言いようがない我が家の宇宙人。

私はのんび~り温泉に浸かりリラックス。
新車だったのにねぇ~
小悪魔は密かに微笑んだのだった。

 


生クリームたっぷりワッフル


お茶にしましょう
災難や事故は
いつやって来るかわからないから
美味しいものはやっぱり
食べておいたほうがいいね

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