夢の薬 肥満症薬
最近、米国や欧州で肥満症薬の話題が大いに盛り上がっているので取り上げることとする。
要約文
この記事は、肥満治療薬市場の急速な拡大と、その市場をリードする製薬会社の動向に焦点を当てています。米国と欧州での肥満治療薬の利用が爆発的に広がり、デンマークの製薬大手ノボノルディスクが先行して「ウゴービ」を発売し、米イーライ・リリーが「ゼプバウンド」で追随している状況を描いています。これらの薬剤はGLP-1受容体作動薬と呼ばれ、食欲を抑制し満腹感を高めることで体重減少に寄与します。市場の拡大は、世界の肥満人口の増加と、肥満が経済に与える影響に対する懸念が背景にあります。一方で、この新しい治療法は食品業界や菓子メーカーに逆風をもたらし、健康への配慮から砂糖使用量が多い企業からの投資撤退や、肥満症薬の普及により恩恵を受ける業界も出てきています。ただし、市場の熱狂には投機的な要素も含まれており、副作用や政府の補助金政策など、不確実性も多いと指摘されています。最終的には、肥満症治療薬の市場とそれを取り巻く環境は、健康と経済の双方に影響を与える大きな変革の可能性を秘めていると述べられています。
大正製薬2024年春に「アライ」発売
大正製薬は、肥満症予防の一般用医薬品(OTC)「アライ」を2024年春に発売します。この薬はオルリスタットを有効成分とし、消化管内での脂質の吸収を妨げることで内臓脂肪を減少させ、腹囲を減少させる効果が期待されます。しかし、脂肪吸収の抑制による副作用として、便を伴う放屁、油漏れ、下痢、軟便などの消化器症状が報告されています。オルリスタットは以前から海外で医療用医薬品やOTCとして使用されていましたが、日本では開発が中止された経緯があります。
大正製薬がアライの開発を決定したのは、メタボリックシンドローム対策として肥満に取り組む中で、OTCとして市場に投入することを目指したためです。日本国内での承認取得には約15年を要し、臨床試験や規制当局の理解を得るための努力が必要でした。アライは適正使用を前提としており、薬局・薬店での対面販売が必要で、使用できるのは特定の条件を満たした成人に限られます。
大正製薬は、適正使用の確認としてチェックシートの作成や薬剤師向けの研修を行うなど、販売に際して様々な工夫を凝らしています。肥満症治療薬ウゴービとの競合はなく、むしろセルフメディケーションでの健康維持と医療用治療薬との間で連携が期待されています。副作用に関する適切な情報提供とサポートが、アライの成功には欠かせない要素となります。
服用中止でリバウンドの恐れ⁉️
米国で人気の肥満症治療薬に関する調査によると、薬の使用を中止した場合、体重が再び増加する「リバウンド」の可能性が高いことが示されました。服用をやめた人の半数が、薬を使い始める前に比べて食事量が増えたと報告しています。ドイツ銀行の調査では、服用を継続している人の52%が食事量が減ったと回答しています。この調査は、ノボノルディスクの「オゼンピック」と「ウゴービ」、米イーライ・リリーの「マンジャロ」などのGLP-1受容体作動薬に焦点を当てています。これらの薬はもともと糖尿病治療薬として開発されましたが、食欲を抑える作用により肥満治療にも転用されています。ノボノルディスクは、肥満症は長期的な管理が必要な慢性疾患であり、薬の長期服用が必要であると強調しています。
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