【富士山お中道を歩いて自然観察】9 ナース植物
火山荒原では砂礫(スコリア)の移動が激しく、植物の侵入に大きな妨げになる。この辺りに生えるカラマツやダケカンバの根元には、イタドリを携えていることに気が付いただろうか。
イタドリは地下茎を長く伸ばして地面を安定させることができる。地上部の茎は、冬に枯れて、翌春に地下部の芽から茎を伸ばす。イタドリの地下茎の再生能力は大変高く、雪崩やスコリアの移動などによって損傷を受けても再生できる。
一方、カラマツやダケカンバなどの樹木は、雪崩や砂礫の移動などによる損傷を受けると枯れてしまう。しかしイタドリ群落の中は地面が安定するため、そこで芽生えたカラマツやダケカンバは、保護されて順調に生育することができる。
イタドリのように他の植物を保護して成長を助ける植物をナース植物という。
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