
【富士山お中道を歩いて自然観察】7 風がやや弱まっても・・・
(この記事は、観察マップ地点7 についての解説です)
地点6ではものすごい強風地帯でしたが、少し歩いた地点7では山陰で風がわずかに弱まります。そんな場所でのカラマツやシラビソはどんな形をしているでしょうか?
お中道を5合目に向かって歩くと風当たりは次第に弱くなっていく。
ここではカラマツの樹高は高くなる。しかしそれでも冬に吹く風は強いので、風上に枝のないハタ型樹形となる。

ハタ型樹形とは?
高い山の森林限界や尾根など風当たりの強い場所では、マツ科針葉樹(シラビソやカラマツなど)が風上側に枝のないハタ型となっていることが多い。その枝の向きから、その地域の卓越風(年間を通じて最も多い風向き)を推定することができる。

ハタ型となる原因として、
風上側に枝を出さない
または枝が伸長できない
枝が伸長しても強風による損傷で枯れてしまう
などが提唱されている。
風上側では強風によって砂礫や氷雪が吹き付け、葉や樹皮がこすれて傷がつき水分の消失が増加する。冬は幹・枝が凍っているので失われた水分は補給を受けられずに、枝が乾燥死することが知られている。
風が弱まるといっても、樹形に変化をもたらすほどの強い風が冬の富士山では吹き付けているのが想像できます。
次回(地点8)は、土壌と根っこについてのお話です。