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【富士山お中道の生物図鑑】 オンタデ
見られる場所・・・火山荒原
お中道での花の時期・・・6月中旬〜7月上旬
オンタデ
タデ科タデ属
学名:Poligonum weyrichii var. alpinum
〈御蓼〉
同定のポイント/ 雌雄異株。全体に毛が少ない。葉の裏面に毛はあるが緑色。
かたち
オンタデは高山帯の砂礫地や崩壊地に生える多年草です。
背丈は低く30~50cmくらいです。葉は手のひらほどの大きさの長卵型で、ごわごわした感触をしています。
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花は6月中旬頃から咲き始め黄白色をしています。8月上旬には翼のついた果実になり、種子を風で飛ばすことができます。
![](https://assets.st-note.com/img/1686106074478-sMM3kPbspP.jpg?width=1200)
オンタデの地下部は、日本の草本性高山植物の中では最大級と言われています。
長く太い根は、崩れやすい砂礫地で自身を固定する役割と、栄養を蓄える貯蔵器官としての役割があります。
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分布
火山荒原でお中道から山頂を見上げると、点々とオンタデが分布しているのが見えます。オンタデの分布はお中道(標高約2,300 m)よりはるか上の標高3,200 m付近まで続いています。
![](https://assets.st-note.com/img/1686105345374-r41GhpP4sT.jpg?width=1200)
お中道で見られる同じタデ科のイタドリと異なり、オンタデは低地には出現しません。
両種の分布についてはこちら↓をお読みください。
6月に葉を出し始めたオンタデは、約3ヶ月半後の8月中旬には黄葉し、枯れてしまいます。
オンタデでは、イタドリと異なってどの標高でもオンタデの生育期間はほぼ3ヶ月半と固定しており、〜略〜 春の生育開始は温度に依存するが、生育の終了は温度とは無関係で、たとえ好適な温度であっても体内のカレンダーによって生育を終了させてしまう。
増沢武弘 編著 2009
これはオンタデが北方起源であることと関係しています。寒冷地の北方地域では夏が短く、その短い生育期間で生存できるように組み込まれた遺伝的プログラムと考えられています。
(実験的に、お中道より生育適温が長い期間得られる標高が低い場所にオンタデを植えても、生育期間は3ヶ月半であったそうです)。
富士山お中道を歩いて自然観察」の連載はこちら↓
「富士山お中道の生物図鑑」の連載はこちら↓