【富士山お中道の生物図鑑】 フジハタザオ
見られる場所・・・火山荒原
お中道での花の時期・・・5月下旬〜6月上旬
フジハタザオ
フジハタザオは高山帯の砂礫地に生える多年草です。十字架状の白い花をつけます。
葉は厚ぼったく、ざらっとした触り心地で、これは高山の草本類では珍しい冬も葉をつけている常緑葉です。
お中道での草本の開花は6月中旬以降が多いのですが、フジハタザオの花はすでに5月下旬には見られます。
フジハタザオは葉をつけたまま越冬するため、葉を作る手順を飛ばして、雪解け後すぐに花の準備ができるのでしょう。
花が咲いた後は細い角果(種子の入った筒状の袋)をつけます。角果を見つけたらそっと裏返してみてください。
角果の日が当たる面(上面)赤褐色ですが、裏返すと緑色になっています。日が当たる面を赤褐色にして、高山の強い光(紫外線)から種子を守っていると思われます。
富士山にはフジハタザオ、フジアザミ、フジイタドリのように、「フジ」と名のつく植物が数種います。
しかし、これら植物は固有種ではないようです(私は分類学に詳しくないのでよく分かりません。亜種や変種にあたるのでしょうか)。
「富士山のものを基準に同定したから」、あるいは「富士山で多く見られるから」が理由のようです。
富士山お中道に興味を持たれた方は、ぜひ連載第1弾もご覧ください。