今話題になってる映画監督や関係者による性被害について思う事

あえて個人名は出さないけど、映画監督やプロデューサー、俳優、助監督やスタッフに至るまで様々な性被害の告発が続いていますね。
名前が出ている方達や特定の現場で行われたとされる行為の真偽は解りませんが、これが真実なら人として許せない案件です。

でもこれって映画界だけじゃないですよね？　テレビや出版含めて日本の芸能界の体質そのものだし、アイドル、声優、モデルやキャンペーンガール、レースクイーン、作家やライターまで様々な職業で話は聞こえて来ます。ただ、ここまでマスコミが大きく報道してこなかっただけ。

自分は10代の頃から俳優を目指して活動してきたし、俳優や歌手を筆頭にした音楽関係、モデル等、芸能界を目指して頑張っていた仲間や知人も多かったし、ライターの仕事をした時期もあるので出版関係やテレビのプロデューサークラスから末端のスタッフまで色々なタイプの知人がいました。
だから、その手の話は凄く多く聞いたし、被害にあって志なかばで夢を諦めた子もいたしその誘いに乗って映画やテレビに出たり、モデルやサーキットの仕事を貰った子たちもいました。

養成所に通っていた16歳の高校生の女の子が事務所に所属して売り出すから面接に来てくれたと呼ばれてホテルの部屋に連れ込まれて犯されたり、20歳の歌手志望で歌が凄く上手い女の子がデビューする条件に事務所社長の愛人が条件だったり、役を与える代わりにとホテルに呼び出された挙句に仕事は貰えずにヤリ捨てされたりと、権力がある人間が立場を利用して女性を食い物にしようとする話は凄く多かった。

友人の話でも辛かったけど、20代半ばの頃付き合ったモデルの子がいたんですが、その子はレースクイーンになってサーキットに立つのが夢でした。ある日、面接だと言って夜出かけたんですが、深夜になっても帰って来ない。流石におかしいと思うじゃないですか。翌日になって連絡が取れた彼女から話を聞き出してみると、ウォーキングのレッスンだと言い、裸にヒールだけ履いてホテルの部屋で何往復もさせられたりポーズの練習だといいながらソファに座った男の前で色々なポーズを取らされ、最後はベッドで性行為に及んだそうです。

もちろんその場は口論になり、やめる様に言ったんですが、どんな事をしてもレースクイーンになりたい。その為ならなんでもするし、セックスの道具になっても構わない。と言われました。

最終的には恋人としては別れる形になったのですが、友人として付き合いは残りました。友人と言うか、似たような世界を目指している知人として近況を話す程度でしたが。

そして彼女はレースクイーンとしてサーキットに立つ事は無く、夢を諦めました。

それから何年か経って、レースクイーンをしている女性と知り合いその事を話したら、そういう人は多いけど私は無かった。事務所によるんだよね。という話をされた時はなんとも言えない気持ちになりましたね。

私自身は劇団にいて舞台が活動のメインだったのでそこまでではないけど、話を持ちかけられた事はあった。役を貰う話だったり事務所に所属する引き換えだったり、活動していく為の愛人の話さえありましたよ。もちろん受けませんでしたけど、先が見えない中で受けたほうがいいのかって考えが頭を過らなかったと言えば嘘になります。これこれこうしたら俳優になれる、歌手になれるなんて保証は無いし、どうやったら上手くいくなんて正解は無いし、その時が来るまで暗闇の中、灯りも持たずに手探りで進んでいくようなものです。
今と違って、個人で発信したり活動出来る媒体も無かったし、ライブハウスや劇団に参加して自分で金払ってひたすら誰かの目に留まるのを待ち続けるか、知り合いを頼ってオーディションに参加する位しかない時代でした。

芸能界なんてぐちゃぐちゃだなって感じたのって意外と古くて、自分が16歳の頃なんですよね。
当時大人気のアイドルグループがいて、テレビのレギュラー番組の大道具スタッフが友人にいたんですよ。
友人は話す度に、そのグループの誰とヤッたとか、先輩は誰とヤッた、次は誰を狙ってると言った話を毎回して来るんですよ。名前が出た中には自分が好きだった子もいっぱいいたし、中心になってる子も……って言うかほぼ全員の名前出てたし、新人が入れば必ず「あの子狙ってる」って言ってたしね。

20代も半ばになり、俳優になるのも諦めざるを得ない状況になった頃には、何故かテレビとか出版の偉い人たちと知り合いになって、色々な話を聞いたし誘われたんですよ。
出版関係では、「読モ集めて撮影があるんだけど、近県で一泊なんだけど一緒に行かない？　夜はその子たちと代わる代わるヤレるし楽しいよ」って誘われたり、テレビの偉い人に「お前金持ってる？　今女優の○○が××ホテルにいるんだけど、100万でいいよ。話付けてやるから」って持ちかけられたりしました。
驚いたのは、その女優って当時ゴールデンタイムのドラマでヒロインとか主役クラスで出てる女優さんで自分もファンだったりしたんで結構ショックでしたね。

そんな事が多かったからか、自分未だにアイドルとか女優さんとかにのめり込んだりする感覚が無いんですよ。推しとかの感覚もよくわからないです。
だから、音楽が好き。映画の役どころに酔う事はあっても役者本人には興味が無いない。推しとかの感覚もよく解らないんで、認知とかもどうでもいいし、好きなアーティストさんのライブやイベントによく行くようになった今は、目立つとやりにくくなるのが解ったんで、新しくライブとかイベントとか行く際は逆に認知されないように気を付けようと思ってる位です。

話が逸れてしまったんですが、今回の監督の件もそうですが、一連の性被害の件はやっぱり許せない。
それは、相手女優という、訴えたら仕事に支障がある人気商売の人間だからだ。
女優やアイドル、タレントの様な仕事にはイメージが付き纏う。CMやスポンサーの心象もある。性被害に合い、裁判をしているなんて事になれば決まっていた仕事やCMは降板、スポンサーも離れてしまうかもしれないと言う恐れもある。自分だけではなく事務所や他の所属している俳優にも影響は及ぶかもしれない。色んな事が頭をよぎるだろう。

だから訴えられたり被害を公表されたりする心配が少ない。
これはとても卑怯な手口です。

こういう権力者に無理やり関係を迫られたという話になると必ず「枕営業だ」とか「身体使って仕事貰えるなら等価交換じゃん」とか「女だって解ってやってる」とか言われるが、色々な話を近くで聞いてきた私は、権力を持ってる人間が相手の弱い所に付け込んで、被害に遭ってる人が悪いという考えは的外れだと思うんです。
もちろん、私は性善説を唱えるような聖人君子でも無いので、解ってやってる人もいるし、逆に身体を餌に自ら権力者を誘惑したり、相手をハメて陥れようと考えてる人も実際にいるのは事実です。

でもね、身体を使って仕事を取ろうと考えてる人だって、初めからそうだった訳じゃないし、好きでもない、好みでもない人間と性行為に及びたいとは思うはずもない。

残念ながら日本は被害者なのに銃弾される事が多い。そういう事実も公表する妨げになっているんだと思います。

でもね、仕事を餌にして無理矢理関係を求める世界は間違ってると思うんだ。

自分は紆余曲折あって夜の世界へ進み、キャバクラや風俗、AVの世界まで見て来て色んな人から相談受けたり話をしてきたけど、この世界で働く人間は、そういう感情をオフにしている人が多いんです。
何故かって？　そうするしか無いからですよ。
勿論、男がそうである様に、性行為そのものが好きで好きでしょうがなくて、誘われたら簡単にヤッちゃうって人も少なくないです。でもそういう人でも相手は選んでますよ。誰でもいい訳じゃない。

同じ様に、ヌードシーンもそうだ。
脱がないといけないように女優を追い込んでいく、脱がせるのが監督の腕の見せ所だという話もよく聞きます。集団で追い込んで脱がせてそれを話題にするとか人としてどうなん？
自分は映画やドラマのほとんどの作品にヌードは必要ないと思ってます。だって女優さんが脱いでる必然性が無いシーンばかりだし、そのシーンが無くても成立する作品ばかりですよ。芸術と言う名を借りた客寄せ商法として脱がされてるとしか思えないですよ。

だからね、今回公になっったのをキッカケに、こういう事が無くなるようにしなきゃいけない。業界全体で自浄しないといけない。

今、名前が上がっている方達がしたとされる行為の真偽はまだ解らない。
でも、人生長く生きてると、「その人の本性を知りたければ権力を与えればいい」と言う状況は嫌と言うほど見てきたし、実際に権力を持った人間は想像もつかないような思考になってしまう事が多い。
だから前述の様な話が多く聞こえてくるんだ。

私は幼少の頃から映画館に連れられて映画もずっと観てきた映画好きで、自分の感性や性格は映画に育てられたと言っても過言じゃないと思ってます。
勿論、映画だけでなく、ドラマ、小説、マンガ、アニメ、全ての創作が好きです。
だから今の現状は悲しいし、どうにかして欲しいと思ってる。
でも現場からやらなきゃ自分達映画ファンにはどうすることも出来ないんです。せいぜいネットで声を上げるだけ。

この問題を受けて、行動を起こしている方達がいます。

6人の監督が語る「持続可能な映画界を目指して、の第一歩」
https://www.kinejun.com/2022/04/12/post-10990/?amp=1

原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます
https://statementfromtheoriginalauthors.hp.peraichi.com

私は、上記の活動に賛同します。

映画界に留まらず、こういう慣例がなくなる事を願います。
これ以上私をガッカリさせないで欲しい。