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専属契約という「罠」

題名の通り、今回は「専属契約」に関しての話です。この言葉、簡単に説明すると「うち以外のアプリで配信しちゃダメだよ」という意味である。芸能界などでは一般的に使われる言葉である。

配信者を集める事には広告費や人件費でかなりのお金がかかっている。また実際に配信を始めてからも最初から伸びて利益を出す人は少ない。利益が出てない間も一定の報酬を保証しない限り配信者がそもそも契約をしないためこの赤字のリスクは常に抱えつづける配信アプリ運営側の悩みだろう。

あまり利益を上げれず配信を始めて半年以内で辞める人が殆どの業界に置いて、月に数百万レベルで稼ぐ配信者の存在は非常に貴重なものである。要は、数名の圧倒的黒字の配信者がその他の赤字配信者を支えているのが配信アプリだ。(実際は全く支えきれておらず大きく赤字を出している配信アプリが大半)

この利益を生み出しているライバーを何としてでも手放したくない。そこで出てくるのがこの「専属契約」だ。専属契約を簡単に説明すると、一定の期間はうちの配信アプリ以外はやっちゃダメだよ~という内容である。配信者側のメリットとしては、報酬の内容が良くなるといったことがある。一方でデメリットとして、違反した場合は解雇になるだけでなく罰金を取られるケースもある。

デメリットこそあれど報酬面が良くなる専属契約、では何故今回「専属契約という罠」というマイナスな表現をしたのか、その理由は大きく2点ある。

①そもそも契約の段階で説明されないケースがある

②他の配信アプリを知らないで契約をしてしまうケースがある

それぞれ説明しよう。

①の契約の段階で説明されないケース、これは代理店や配信アプリにもよるとは思うが、担当者が説明をする際にうまくごまかす(そもそも言わないケースもあるらしい)ことが多い。例えば代理店によっては一つの配信アプリとは契約しているが他の配信アプリと契約してない代理店もある。そういった会社にとってみれば、配信者が他の配信サイトに移動しない=ずっと自分の会社の利益になるという式がなりたつ為、配信アプリと専属契約を結ぶことがある。また、配信アプリとしてもせっかく投資した配信者が他の配信アプリに移動するのは利益を失うだけでなく、ライバル会社に塩を送るようなものなので極力したくない。そういった理由からあまり詳しく説明しないでとりあえず専属契約で契約を進めることがあるようだ。

②他の配信アプリを知らないケース、配信アプリの知名度が上がってきており、感度が高い方だと、「showroom」や「17Live」「ふわっち」などの配信アプリを知っている方もいるだろう。ただ「Bigo Live」や「Rakuten Live」などを知っている一般人の方は一体どれだけいるだろうか。少なくとも私の周りには殆どいない。こういった状況は有名配信アプリに公式ライバーとし募集してくる配信者も例外ではない。つまり、他の配信アプリないし、その報酬内容を知らないまま、有名だからという理由で専属契約を結んでしまうケースがあるのだ。仮に有名な配信アプリで配信をしたいからという理由で募集してきた場合はそこまでの問題にはならない。しかし、稼ぎたいからなどの理由で募集してきた人にとっては、この無知が故の専属契約は大きな痛手になることがある。そして配信アプリでの配信を希望する配信者の多くは、この「稼げるから」という点を大事にしている人が多いのである。

残念な事に、一般人の方にも知られているような有名投げ銭アプリは、認知度が低い配信アプリと比較して稼げないケースが多いのだ。いや、正確には稼ぎにくいのだ。

「稼ぎにくい」という表現の仕方をしたのは、最上位の配信者に関しては有名なアプリの方が稼げるからである。

「どういう事??』

これを理解するには自分が配信アプリの経営者になった視点から考えると良い。

新しく配信アプリを作った際に最も難しい点、それはライバルである有名配信アプリの存在だ。彼らは既に多くの配信者を抱えており、配信者を目指す人たちも有名アプリの公式配信者に募集をするのだ。

そうなると差別化をする必要がある。一番手っ取り早いのが「金」だ。有名な配信アプリよりも配信者に「金」を払えばいいのである。稼ぐ以外の要因から配信アプリを選んでいる人もいるが、お金をモチベーションに配信をしている方も多い。まずはそこを集め徐々にユーザーを増やしていくのが基本的な流れだ。そして、この「金」を分解すると、さらに二つの要素に分けることができる。

①課金の還元率をあげる

②固定給をあげる

①の還元率とは、リスナーが課金した額の還元をあげるのである。例えば有名アプリが30%の還元であれば、60%にあげれば流れてくる配信者もいるだろう。既に抱えているリスナーが多く、新規をつける理由がない配信者などは少しでも高い還元率の会社に行きたいと考えるのは当然だ。ただこれには大きな問題があり、リスナーを抱えていない人からすると、そもそも投げる人がいないため、他に移っても意味がない。むしろ今のところで新しいファンを集めた方が良いという発想になる。そこで②の固定給をあげるにつながる。

②固定給を高くする。一般的に配信業界では時給制を敷いてるところが多いが、月給のところも一部ある。月に何時間以上配信する事で、一定額の時給を保証しますという契約である。こちらのいいところは、リスナーの有無や投げ銭に関わらず一定額が保証される点である。ライバーの中には、リスナーは多いが投げ銭はそれほどもらえない方や、ポイントが安定しない配信者もいる。そういった配信者にとってこの固定給の制度はかなりありがたく、移動するケースも多い。

こういった報酬をあげるという行為は、=会社の利益を減らす行為であり、殆どの配信アプリはリリース後かなりの赤字を出す事になる。代理店の中にはこういった出たばかりの配信アプリに、質を問わず人を大量に流す事で利益を出している会社もあるため、配信アプリとしもかなりのリスクを背負うことが多い。

今有名な配信アプリも同じようなルートを辿ってきており、その中で伸びている配信者には報酬をあげつつ、質の低い配信者は切るなどを代理店などとの関係値を保ちつつ調整する行為をやってのけたアプリが殆どだ。(実際まだまだ赤字のとことが殆どのようだが)

だからこそ、抱えている優秀な配信者が抜ける事には最新の注意を払っている。投資した分のリターンを得なければならない。

しかし配信者にしてみると、会社の都合でしかない。仮にしっかり投資をしてもらい、そのリターンを十二分に受けた状況であるならばある程度は理解できる。ただ、基本的に専属契約は契約初期に理解しないまま締結されるケースが多く、実際に初めて見たけど全くうまくいかず、一ヶ月くらいで他に移りたいってなった場合などにおいても「専属契約」という名目の下、移籍が禁じられるケースが多い。

そもそも配信という仕事は浮き沈みが激しい。たまたまついた爆投げリスナーが離れる事で、月収100万円が一気に1万円になるというケースもざらにある。移籍という手段はそれをケアするものだと思ってもらいたい。他の配信アプリで活躍してた配信者には高い報酬を支払うアプリは多いのだ。

著者は配信者と配信アプリの関係はあくまでまだ、配信者の方が上だと思っている。この配信アプリだから見るではなく、この配信者だから見るというリスナーが殆どなのだ。

だからこそ配信者には自分の価値をしっかり理解した上で、安易に一つの配信アプリと心中するような事はしてもらいたくはない。専属契約は結び方やタイミングを間違わなければ利点も多い。普段利用しているアプリだけでなく、しっかり業界や体勢を理解して契約は自分の意思で決めるべきだ。

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