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OBS Studioを使った野球のライブ配信を2か月間で236試合サポート

全国に約30連盟が存在する、大学野球連盟。
春季リーグと秋季リーグの年2回大きなリーグが開催されます。
2024年4月現在、そのうち、13連盟が大手スポーツコンテンツへ試合を配信しています。
その配信は、10連盟が『学生』によるライブ配信となっています。
私は、学生が現地でライブ配信の基礎知識の指導や当日に起きるトラブルや疑問をオンラインでサポートしています。
2024年の4月と5月は、ライブ配信サポートに明け暮れる2か月間でした。
サポートした試合は、この2カ月で236試合。先ほど1試合追加にありまして237試合となりましたw
昨年からサポートしていますが、一生分以上、野球の試合を見続けていますw
配信機材には、あまりコストをかけることができないので、できるだけ安価な機材で安定した配信ができるように機材をチョイスし、学生たちに渡して配信してもらっています。基本的に、OBS Studioを使って配信を行います。
この2か月間サポート中に起きたトラブル等を忘備録としてまとめました。


配信の基本構成

大学野球連盟によっては、はじめてライブ配信をする連盟もあります。
そのため、できるだけわかりやすく安価な機材を選定し、使ってもらっています。1カメ版と2カメ版の構成をご紹介します。ポイントはUSB接続をできるだけ使用しないにしているところです。1台のパソコンにUSBポートがたくさんついている場合はいいですが、ノートパソコンは、多くて3個程度のポートしかありません。また、USB機器が増えれば増えるほど、WindowsUpdateで動かなくなった、ドライバーの相性が悪く再インストールが必要になった等、オンラインではサポートしにくいトラブルがでてしまうためでもあります。

1カメ構成

1カメの構成

このあたりを主軸に構成しています。

2カメ構成

2カメの構成

このあたりを主軸に構成しています。

ソフトウェアエンコーダー OBS Studio

ご紹介した機材をすべてつないで、ノートPCへ接続し、無料のソフトウェアエンコーダー OBS Studioで配信するという流れにしています。
PC側に設定は、過去にも記事にしていますが、できるだけ安定稼働できるように設定してから、学生に渡しています。

回線は、ポケットWi-Fi2台+Speedify

いろいろな場所で配信を行ってきた経験からいうと、現在では、Softbankとauのモバイル回線が、球場では優秀です。docomoは、なかなか厳しいところが多かった印象です。
ポケットWi-Fi1台のみの配信だと、モバイル回線特有の目まぐるしい回線状況の変化があると、配信が止まったりてしまい、安定しませんし、冗長性も低いです。
そこで、複数回線をボンディングして、冗長性を高めるために、ソフトウェアでボンディングしています。そのソフトウェアが、「Speedify」です。

Speedify

最低でも2台、できれば3台のポケットWi-Fiをボンディングして配信してもらっています。2台で最低限の安定配信を担保し、3台目はどちらかの回線が落ちてしまった場合の予備的なイメージです。

起きたトラブル10選を紹介します

とにかくたくさんトラブルが起きます。
簡単なトラブルから一見なにが原因かわからないトラブル等、現場にいれば気づける事例も、オンラインでサポートとなると原因特定に時間がかかります。できるだけ早く原因を予測し、現状を把握し、すぐ対応をしていくことを目指しています。
1日多いところでは、3試合約10時間、配信しっぱなしになるので、PCも機材もできるだけ再起動等しなくても長時間配信できるようにケアします。
そのほんの一部をご紹介します。

①接続が間違っていないのに、OBS Studioに映像が映らない

ビデオキャプチャやスイッチャーが接続されていないまたは電源が入っていない状況で、OBS Studioを起動すると、たまに(結構な頻度)で映像がOBS Studio上に表示されない場合があります。その際には、OBS Studioのソース部分の映像キャプチャデバイスを一度ほかのカメラ(例:WEB CAM等)を選択してから、再度UVC-01やATEMを選択しなおすと表示されます。
音声も同じ現象になったりします。
これは、OBS Studio側でPCの既定設定を自動で読み取ってしまうために起きる現象です。もちろん、プロジェクト等を呼び出せば解消する場合もありますが、配信初心者の学生には、なかなか理解しがたいところなので、再選択をしてもらっています。

②ショットガンマイクの音がでない

こちらで準備したミキサー(オーディオインターフェース)を使っている連盟もあれば、自前で準備したミキサーを使っている連盟もあります。
自前で準備したミキサーであれば、使い方がわかっているのかと思いきやあまりわからずに急に使いだすところもあります。しらないうちに、エフェクトがONになっていて、ボイスチャンジャーを使って実況解説してしまったなんていうエピソードもありますw
ガンマイクは、48V電源が必要ということが全く知られていないので、操作中に間違えてファンタム電源をOFFにしてしまったりすると、音がでないという事例が多いです。

③ポケットWi-Fiの使い方がわからず、回線が不安定に

回線問題には悩まされますが、そもそもポケットWi-Fiの使い方が怪しかったりします。レンタルのポケットWi-Fiのほどんどは、USB接続でネットに接続しているときに、Wi-Fi接続も同時使用すると、ネット接続が不安定になったり切れたりします。必ず、USB接続とWi-Fi接続を同時使用しないように確認をしてもらいます。

④HDMI(30m)の向きが逆で映像が映らない

短いHDMIケーブルだと、向きは気にしなくてもいいですが、長いHDMIケーブル(10m以上)になると、光ケーブル内蔵のHDMIになり、映像が流れる向きがあります。この向きがあることがわからず映像が映る時と映らない時があって混乱していたようなので、向きに気を付けてもらいます。

⑤暑さで?ポケットWi-Fiがバグる

4月下旬から5月になると、気温が25℃以上になったります。
25℃程度ならと思うかもしれませんが、直射日光が機材にあたると黒い機材ばかりなので、異常に熱くなります。
特にポケットWi-Fiは、高熱になると回線が切れる可能性が高くなります。日陰で風通しの良いところに置いてもらうか、日陰で卓上扇風機を当ててもらう等の対策が必要になります。

⑥WindowsUpdateが入り、OBS Studioがフリーズ

WindowsUpdateを怠っていると、配信中にWindowsUpdateが入り、PCの動作がおかしくなったりします。OBS Studioも例外ではなく、ひどい時にはフリーズしたりします。WindowsUpdateを一時的に止めればいい話なのですが、一定期間で解除されてしまうので、事前にWindowsUpdateを当てきってもらうようにしています。

⑦OBS Studioの画面が拡大されてしまう

右クリックをすると出てくるOBS Studioのメニューの中に「プレビュースケーリング」という項目があります。このサブ項目で、基本(キャンバス)が選択されていると配信スケーリングと同じサイズで表示され、あたかも拡大されたかのように見えてしまいます。
プレビュースケーリング➡ウインドウサイズにスケーリング表示 をすることでウインドウサイズに合わせた表示になります。

ウインドウサイズにスケーリング表示

⑧HDMIケーブルが絡まってほどくのに時間がかかる

普通に生活をしていれば、長いケーブルを巻き取る時、順巻きで巻いてしまいますよね。順巻きすると、ほどくときに高確率で絡まります。ケーブルが短いとまだいいですが、長くなるほど地獄のような絡まり方になってしまいます。8字巻きができるようになるとほどくときに絡まりにくくなるので、Youtube動画で8字巻きのやり方動画を案内して、マスターしてもらうようにしています。

⑨機器の充電忘れや電源の取り忘れ

凡ミスともいえるのですが、やってあるはずという思い込みから来てしまうミスが、充電し忘れや電源の取り忘れです。特にバッテリーで動作する機器は、ACアダプタを接続していなくともとりあえず動作してしまうので、注意が必要です。特にノートパソコンは、機種にもよりますが、バッテリー動作だと省電力モードになってしまって動作が遅くなるものもあったり、バッテリー残量が20%を切ると、極端な省電力モードになったります。思い込まず、事前に確認することが重要です。

⑩原因不明のホワイトノイズ

まったく同じ機材を使ているのに、ホワイトノイズが無視できないレベルまで上がってしまったり、そんな機能がない機材なのにオートゲイン的なホワイトノイズ(静かになるとホワイトノイズが大きくなる)が出てしまったりします。こればかりは現地にいって、電源やケーブル等の再確認が必要となってしまうため、根本解決はできませんが、OBS Studioの音声フィルタ「ノイズ抑制」を使って気にならない程度までノイズを抑制します。やりすぎると変な音になるので注意が必要です。

と10のトラブルをご紹介しましたが、これ以外にもたくさんいろいろな方面でのトラブルがおきます。
一つ一つ落ち着いて対処していき、つぶしていきます。
一番大変なのは、担当学生が毎日変わったり、卒業してしまうとわかる人が極端に減ったりするので、「教え続ける」というところです。

これらのトラブルが、同時に起こる

各地でリーグ戦が展開されるので、同じ時間帯に試合が何試合も同時進行します。同じトラブルではなく、すべて違ったトラブルがほとんどです。
同時進行でサポートを捌くことも結構大変です💦

まとめ

いかがでしたでしょうか?
237試合サポートをして見えてきたサポートの神髄は、下記の点だと思います。

  • 困っている人と一緒にパニックにならない

  • トラブルが起きたときに、思考をフリーズさせずに考え続ける

  • できるだけ、ゆったりと指導する(内心焦っていてもw)

技術的な知識もそうですが、この3点が最も重要だと感じました。
サポートは、いままで使ったことがない機材でもサポートしないといけない場合もあります。一度も体験したことのないトラブルにも対応しないといけない場合もあります。
ライブ配信は、本来楽しいものであるべきだと思うので、楽しむための準備をしっかりするよう今後もサポートしていこうと思います!
学生のがんばりに負けないように!





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