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Ⅰ大学病院時代@東京 ①研修病院編 その3

今回は研修病院についての説明から始めます。
僕が勤務したのは、下町にある総合病院で、規模としては郊外の市民病院レベルに当たる病院でした。
内科・外科を始め、整形外科や皮膚科、小児科までほとんどの科を有していました。
様々な検査や手術も行い、入院病棟も数百床、外来にはコンビニが入っている、今時よくある感じです。
勤務しているのは医師も看護師もほとんどは、大学病院などもっと大きな病院勤務を経験した人たちでしたが、系列の看護学校も有していたため看護学生や、新人の看護師も働いていました。
そこで呼吸器や循環器、消化器などいくつかに分かれている内科を数か月ごとにローテーションして、専門知識を学ぶことになります。

研修医としての一日は、朝の採血から始まります。
朝6時から配属された病棟の、その日の採血患者、20人弱を順に回っていきます。
一般的には看護師業務として行われますが、研修医ですのでまずは修行です。
もちろん、とても申し訳ないのですが、へたくそな訳で、何度も針を刺すことになります。当時の患者さん方、ほんとにスミマセン。。。
特に高齢者は血管が細く、脆く、ペチャンコになっているので探し辛いし、せっかく探り当てても突き抜けたり、破れたり、漏れたりしがちなんです。
そして幼児は全身ぷよぷよで、血管など見えることはなく、まさに心眼で自分を信じて刺す、が極意でした。
なので、始めの頃は日勤の看護師さんが出てくる8時頃まで、冷たい視線を浴びながら汗だくになって励んでいたものです。
どうしても無理な時には平身低頭で、看護師さんにお願いしていましたから、研修医時代は終始、看護師さんたちよりもヒエラルキーは下層に置かれていました。
1年間に2回ストレス潰瘍を診断されたほどです。
そのお陰で胃カメラを受ける患者さんの辛さも学べましたが。。。

採血修行の時の貴重な経験談がありました。
高齢者で腕からも足からも、もうどうにも採血ができず、看護師さんでも無理で、動脈から採血する度胸も技術もなかった時、10年目くらいの頼りになる看護師さんが言ったのです。
「じゃあしょうがないからココから採ろう」
指さしたのは、コメカミでした。
漫画で怒った時にバッテン二重線を描くあそこです。
ウソ!って思いました。でも採ってました。僕も採りました。
駆血帯って採血前に血流を止めるために巻くヤツを、ねじり鉢巻きよろしく頭に巻いて、なんてそれこそ漫画みたいなことはしません。
何も巻くことなく、浮き出ている血管めがけてプスっと、です。
要は血が採れたら良いんだもんなー、と振り返って感心したものです。

そんな下町ならでは?の本物の臨床現場修行が朝早くから繰り広げられていたのでした。
大分脱線してしまいました。
次回は引き続き、一日の流れをなぞって参ります。

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