【World Music Explore】お隣の国
お隣の国といえば、なぜか中国ではなく、韓国や台湾を思い浮かべてしまうのは僕だけだろうか?
その韓国も近くて遠い国の一つであろう。なにせ、マスメディアによって紹介されている政治的な事情を含んだ部分がとても多いからである。また、韓流ドラマやK-POPの影響でそういう部分にしか目もいかなくなってきている。
文化的にとても近い国、韓国。同じ言葉も多い。カバンや洗濯機も同じ発音である。三角関係という言葉まで通じてしまう。
その韓国にも、私の大好きなアーティストがいる。
キム・ユルヒ(Kim Yulhee)というパンソリという韓国の伝統民族芸能のシンガーだ。彼女は2019年に来日しており、NST & The Soul Sauceと一緒にフジロックに出ている。その時にファンになった。
彼女の歌は魂を揺さぶる心の叫びだ。また、共演しているNST & The Soul Sauceも非常に優れたレゲエバンドである。ダブがいい。彼らの音楽は、ゆっくりとした、いわゆるジャマイカのレゲエよりももっともっとためがある。
この2組が共演することによって起こる魅力とは。魅力という言葉では表すことのできない精神の一致なのである。
かたや韓国の伝統の歌、かたやジャマイカの音楽。時代も違う。パンソリは19世紀に流行った韓国のものだし、ダブは20世紀後半から現在まであらゆる音楽に影響を与えた音楽の手法の1つである。そんな2つが合わさって1つの曲になったのである。本来、魅力的とでも言っておけばそれで済むのかもしれない。しかし、この2つの組み合わせは、魅力的という言葉よりも、もっとしっくりきているのである。最初からあったような曲なのである。
魅力とは、〜だけど、美しいとか、〜だけどかっこいいとか…
例えば、音程は外れてるけど美しい、とか、しゃがれてるけど、かっこいいとか…だけど、彼らのマッチングは合っているのである。ズレているのは、国と時代だけ。想いは同じなんだろう、きっと。
キム・ユルヒの思いよ、世界中に届け!
文・藤井悟
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