荷台でちいさくも壮大な暮らしの実験
どうも、荷台の夫。しうんです。
このたび結婚して、noteで新たに“荷台夫婦”というユニット名で活動しはじめました。
なんで荷台夫婦なのかというと、わたしたち夫婦はトラックの荷台に建てたモバイルハウスで暮らしてるからです。
えっ…荷台って住める場所なの⁉︎と驚かれる方もいると思いますが、思いのほか住み心地が良すぎて、荷台に引きこもり気味になりつつあるんですよ笑
今回は、そんなわたしたち荷台夫婦の暮らしぶりをご紹介してみたいと思います!
ちいさくも豊かな暮らし
シウンの動く家『ゆんゆん号』は、1トントラックの荷台に脱着式の小屋を積んだタイニーハウスであり、モバイルハウスです。
タイニーハウスとは、アメリカ発祥の「ちいさくも豊かに暮らす」ムーブメントで、日本語で「小さな家」という意味です。このタイニーハウスの進化版が動くちいさなお家のモバイルハウスです。
ゆんゆん号にはキャンピングカー的な要素もあるのですが、あえてモバイルハウス(動く家)と呼んでいるのは、レジャー用としてたまに使う“もの”ではなく、ゆんゆん号に日々暮らし、ちいさくも豊かに生活を楽しむための相棒だからです。
不動産ならぬ可動産の家
家とは何か?と考えると、多くの人は不動産のことを思いつくはずです。
土地を買い、立派な家を建て、夢のマイホームを手に入れることが家族の幸せなんだと教え込まれてきましたが、今その幸せの方程式は崩れつつあります。夢のマイホームを手に入れるために数十年ものローンを背負い、純粋に生活を楽しむ余裕なく必死に働き、お金稼ぎの労働に追われる暮らしの日々。また3.11のような大地震や災害が起こった際には、不動産だと逃げようにも逃げれず、家族にとってかけがえのない家を“家ごと”失う危険性だってあります。
一方で、可動産の動くちいさな家はなんと20万円ほどでつくれます。仮に月々家賃5万円払っているとしたら、4ヶ月分先行投資すれば二度と家賃を払わずに済みます。何より家を買うでも、借りるでもなく、第三の選択肢として“つくる”ことだってできるんです。
自然界に生きる動物たちのことを考えてみると、大概の動物は自分の身の丈にあった“巣まい”を自然界にあるもので上手につくります。それなら、人間の私たちも自分の手で、自分の身の丈にあった心地よい住まいを安く作ることだってできるはずです。
しかし、資本主義社会に生きる私たちは、どうやらそのことを忘れてしまったようです。
毎日安心して暮らすために必要不可欠な家を買おうにもどうしてこんなにも高額で借金しないと買えないのか。もしくはどうして戻ってこない家賃や光熱費諸々の支払いに追われる暮らしを送らなきゃいけないのか。それ以外にも、「ちいさくも豊かに暮らす住まいをつくる」という第三の選択肢もあるんです。
家の常識を破る
家の常識にとらわれず、自分たちにとっての本当の豊かさを追求していくと、家の非常識にたどり着きました。
不動産ならぬ可動産の動く家も非常識のそのうちの一つですが、ミニマリスト思考な我が家はないモノづくしなんです。トイレなし、洗面台なし、台所なし、風呂なし、冷蔵庫なし、家電なしで、夫婦それぞれバックパックひとつずつの手荷物と必要最小限のモノしか所有していません。
一般的なキャンピングカーを想像してもらうと、シンクやベット、机、椅子など所狭く家具が並べられてます。でもそもそも狭い空間なのにあれこれ置いたら余計に狭く感じられますよね。
なので、逆転の発想でそもそもこれらの家具(モノ)って本当に必要なの?とミニマリスト的な視点で考えてみるわけです。
何もかも所有しようとする暮らしだと部屋はモノに溢れかえってしまいます。それでそのモノたちを置くのに大きな家が必要になってくるわけです。
じゃあいっそのこと何も作らずに、あえてシンプルな空間に暮らしてみて、それでも不便に感じて必要不可欠なものがあれば後から付け足そうという「引き算からの足し算」の実験をしてみました。すると、案外あれこれない方が空間を最大限に活かし、快適に暮らせてるので今のところ特に何も追加でつくっていません。笑
モバイルな足るを知る暮らし
「不便をいかに楽しめるか」は足るを知る暮らしを実践する上でとても大切な考え方です。
たしかに今の住宅は便利そのものです。しかし一方で、家の中で使われる電気はどのようにして作られ、台所で流した水、トイレで流したうんちはどこに消えてゆくのか、自分の家が誰によって設計され、建てられたのかさえ知らないブラックボックスの中でその便利さを享受しています。3.11の原発事故が起きましたが、その危ない便利さのツケはいずれ巡りめぐって自分たちの元へ還ってきます。
ゆんゆん号では、オフグリッドな暮らしを実践しています。
お水はおいしい湧き水をいただき、電気は屋根に載せてある200wのソーラーパネルから自家発電し、部屋の中に置いてある大容量のモバイルバッテリーに貯めた太陽の恵みだけを使っています。大容量ではあるものの、電気消費量の高い家電製品を使えばあっという間に貯めた電気を使い果たしてしまいます。なので、なるべく電化製品に頼らずに代用できるカセットコンロや冬の間はストーブの火を有効活用して調理するようにしています。本来の地球一つの限られた資源の中で、いかに工夫して少なくも豊かに暮らせるかということを大切にしてます。
夫婦で小さく暮らすこと
それまで独り身の住所不定だったわたくしが急遽結婚することになり、動く新居に夫婦で暮らす実験がはじまりました(こんな変わり者を快く受け入れてくれる嫁にはほんと感謝です)。トントン拍子で荷台夫婦となったわけですが、荷台というタイニーな空間で仲良くやっていけるの?と友人から質問されることがあります。
2017年9月から荷台で同居生活をはじめて、12月に入籍しました。元々仲がよくケンカを一度もしたことがないくらい仲良しだったので、これからもケンカすることなくずっと仲良くやっていくんだろうなーと思っていました。ところが、友人から家族へと関係性が変わると、今までなら何でもないような小さなことでイラッとしてしまったり、拗ねたり、悲しんだり、泣いたりと色んな感情が湧き出てきて自分でもびっくりしました。
でも、それは決して悪いことではなく、家族になっていくプロセスで起こりうる二人の心の擦り合わせだと思います。もちろん、感情がガーと露わになったときは相手を傷つけてしまったり、自分が傷ついたりして辛いときもありますが、感情が落ち着いてからちゃんと話し合ってみると深いところではお互いのことをほんとに心の底から想い合っているという真実に感動して、ぼくはまた泣いてしまったりするのです。
タイニーな空間に、無駄なものなく、大切な人とかけがえのない時間を過ごす。
もうこれだけで十分幸せなことだと日々感じてます。
旅をするように暮らすこと
住所不定のモバイルハウス多拠点暮らし。
好きな場所で、好きなように暮らせる。
旅をするように暮らし、暮らすように旅する。
2018年は荷台夫婦で日本各地を駆け巡って、二人が気にいったご縁ある新天地に移住するキャンパー旅に出かけます。
さて、来年の今頃はどこに居つくことやら…。
荷台夫婦の
生きる実験はつづく