読書ノート 公共哲学とは何か

「公共哲学とは何か」山脇直司 ちくま新書
大事なことをかいつまんで、さらーっとおさらいするような本。
これ書かれたのは小泉政権の時だったのか・・NPOセクターの台頭で、民が公共を担うようになり、公私二元論では捉えられないことが出てきて、公共哲学に関心が高まっているとある。
哲学は本来包括的なテーマで論考するべきなのに、文学部の一系統に位置づけられ、それぞれの学問領域はタコツボ的に営まれている。個々の学問を同じ土俵に載せ、討議しあう学問としての公共哲学の重要性を説く。


印象に残ったところ抜き書き
なるほど〜と思った。
・御用学者や御用評論家が羽振りをきかす現代の日本の状況には、かつてのマルクス主義者への反発が背景にあるように思われます。
たしかに、自発的な「民の公共」を権威主義的な「政府の公」によって抑圧してきたレーニン・スターリン体制の崩壊を喜ぶべきどころか、逆に悲しんだ左翼勢力が日本に多かったことは、日本の左翼勢力がいかに公共哲学のセンスに乏しかったかを露呈させました。しかし、そのようなお粗末な左翼を叩くことで売り上げを伸ばすような本や雑誌が今日に至るまで非常に多く見られることは、明らかに島国日本の特殊な現象だと言ってよさそうです。

本に書かれていたトピック

・アレントの公共哲学:公共性をコミュニケーション行為に限定しすぎていた。

・ハイデガー:公共性を個を失った人の集合体と捉えた。

・アメリカにおける公共哲学:リップマン、ベラー

・日本における公共哲学

・古代ギリシア:ソクラテス→プラトン→アリストテレス

・明治維新で公論・公儀を掲げたが、明治憲法・教育勅語により徹底的に挫折する。戦後、1960年代の革新的公共哲学も大学紛争により後退する。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?