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自分との再会

80年代。ニューヨークのSchool of Visual Artという美大で写真を学んでいた頃の僕の作品を母が保管してくれていたようで、今回母の40年ぶりの日本帰国に伴い持ち帰ってきてくれた。

鏡に向かってカメラを構えていたり、当時のニューヨークでウロウロと自分が撮影した写真のプリントが残っていた。

カメラを構えて鏡に映る学生時代の自分

80年代のニューヨーク、マンハッタンは治安がかなり悪く、大学の課題とはいえ、日本人の若造がカメラ片手にウロウロするのには常に危険が伴い、親に買い与えてもらったカメラも盗まれ、その後に買ってもらったカメラも脅されて奪われた。

当時を知る人しかピンとこないかもしれないが、カメラ持っている日本人は揶揄われるダサい格好の象徴で、隠すようにカメラを持ち歩いていた記憶がある。

約40年ぶりに再会した鏡に映る自分と、当時の自分の撮った写真達だか、撮り方はなんだが今とほとんど変わってないなと、少し我ながら興味深かった。

当時はまだデジカメも存在しておらず、全てフィルムで撮影し、アンモニア臭のする暗室で現像していた。

危険が伴う撮影と、日本人とカメラというバカにされるイメージと、そして面倒臭かった現像などで若干やる気が失せたり、日本に帰国後にしばらく働いていた写真スタジオでは写真なんか新人には撮らせてもらえず、スタジオの天井近くの照明を脚立登ってセッティングさせられたり(僕は高所恐怖症)で、結局写真の世界からは随分と長い事遠ざかってしまっていた。

後悔先に立たずですが、余計な事を考えず、自分の中のパッションに従ってあのまま写真の世界に没頭していればと思う。

随分と勿体無い事をしたものだ。

とはいえ、今また写真でどうにかお仕事をもらえたりしている事は幸せな事だ。

絵を描いていたり、写真を撮っていたり、何かに打ち込んでいる若者に出会うと、つい「どんな事があっても、とにかく今やってる事は辞めずに続けた方が良いよ!」と熱く語ってしまったりするのは、そういう自分の経験があるからだ。

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