なぜ台湾の政治家は投票に行くときに、身分証を持参し忘れるのか?
2024年10月13日基隆市長リコール投票
今日、2024年10月13日は、台湾北部の基隆市で、国民党所属の現基隆市長リコールに賛成するかどうかの住民投票が行われました。
現地時間午後4時に投票が締め切られ、開票作業が続いています。どうも不同意の票数が優勢で、リコール否決、市長続投となりそうな雰囲気です。
(追記:リコール案否決が確定しました。)
・さて、投票時間中のこと。前任の基隆市長・現民進党秘書長の林右昌氏が投票に来たものの、「(投票に必要な)身分証を忘れていた」として家まで取りに戻った。で再度投票に現れた。
記者がそりゃいろいろ聞いてニュースにも取り上げられる。みんなこの人が誰かはよく知っている。知っているけど、ルールだから身分証の提示は必要。投票で特別扱いはできないもんね、と。
過去にもあった「てへぺろ」
そういえば、過去の選挙のときにも、投票に来た政治家が「身分証を忘れて取りに帰る」ということがあった。もし、そんな肝心なところで本当にそんなうっかりさんだったら、政治の仕事なんて任せられないでしょ(^_^;)
昔の記事を検索してみたら、似たような話がいっぱい出てくる。
2024年1月13日 正副総統・立法委員選挙
副総統候補者の蕭美琴氏は、新北市の投票所に来たものの、身分証を車に置き忘れて、同行の人に、車まで取りに行ってもらう。所要時間5分。
蕭美琴氏はこの選挙で当選して副総統になりました(現職)。
2023年1月8日、立法委員(国会議員)補欠選挙
国民党の立法委員候補者の王鴻薇氏は、台北市長の蔣萬安氏と一緒に、投票所に現れた。このとき、身分証明になる書類として、健康保険証は持っていたけど、必携の国民身分証をもっておらず投票できず家に取りに帰る。
「身分証明は健康保険証でもOKかと勘違いしていました。」と本人談。
あーら、やっちゃったわーと言う感じの笑顔。王鴻薇氏はこの補選で当選して立法委員(国会議員)になりました(現職)。
何故忘れるのか、の考察
・コストかけずマスコミが取り上げて話題にしてくれる⇒露出が多くなる。
・「取りに帰る」ところを見せることで「特別扱いを求めず、律儀にルールを守る人」だと言うイメージを打ち出せる。
・「生真面目なお堅い人、と思っていたけど、こんなうっかりさんなところもあるのね、なんだか応援してあげたくなっちゃう」と有権者に思わせる。※全部広報戦略の一環なんだろうな。と邪推が過ぎますでしょうか(笑)