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行政文書管理で思うこと


デジタル庁の文書管理プロジェクトの記事を読んで

こちらのデジタル庁の文書管理プロジェクトの記事を読んだ。

 ふだん、行政とか法律とか意識することなく暮らしている自分だが、あるとき、とある件で「個人の身分に関する扱いがどう定められているのか(単に法律の条文だけではわからない部分の扱い)を知りたい」と思ったことがあった。扱いの根拠となる通達や、回答の行政文書があるはずなのだ。
 法務局に問い合わせると、「無い」とだけ言われた。
 「無い」ならば、どうして「そういう扱い」がされているのか? 根拠になる文書が無ければ、当事者の立場で自身が「どう」扱われるか、および、「どうして」かが把握できないではないか?
 埒が明かないので、情報公開請求をしてみた。
 最初は、ただ「無い」(行政文書不存在)との説明だけ。
 不存在の「理由」を問うと、「保存期間10年が過ぎているからない」という。
 しかし、「現行の制度の中で、ある分野の行政上の扱いについて一定の方針があるならば、それが保存期間10年以上前に書かれたものであろうが何だろうが現在有効な行政文書ではないのか?」そう訊ねてみた。
 すると行政文書不存在の理由が突如変わった。
 日本加除出版の「親族、相続、戸籍に関する訓令通牒録(全19綴・加除式)」(定価63800円!)

に掲載されている内容は、書籍として販売されているわけだから情報公開制度の対象になる行政文書ではないのだという。

参考:情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)
第2条2項
この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く
 一 官報、白書、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもの
(以下略)

 訓令・通達・回答の類の行政文書が、不特定多数の者に「販売することを目的として」発行されるものだとする強引な解釈には驚いた。
 それにしても「書籍になっているから」という理由で「無い」ことにするのだったら、最初から、そう教えてくれればいいのに。

 結局自分のこの件の場合、「思い立って」から、「目的の情報」にアクセスできるまで、実にまる三年以上を、無駄に費やしてしまった。

デジタル庁の文書管理プロジェクトに期待

 長年「六法全書」が販売されていても、その内容を網羅した利用料無料の「e-gov法令検索システム」

をリリースできている。
 ならば、長年「訓令通牒録」が発売されていても、その内容を網羅した「e-gov訓令・通達・回答検索システム」をリリースすることだって考えられるはずでは?

期待しています!

 私の経験した「三年間」の「無駄」のようなものは、きっと無くすことができるはずです。

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