【映画】『トップガン マーヴェリック』を観て
今、巷で話題の『トップガン マーヴェリック』を劇場で観てきました。
それも初めて父を誘って親子二人で。
今回は一映画ファン・ミリオタ的に感じたことを記していきたい
【この後続く本文には映画本編のネタバレが含まれます・
親孝行ストーリーは含まれません】
サウンドトラックに収録されているOneRepublic『I Ain't Worried』
再生しながら読むと良い感じです
ふたつの「トム」
私が『トップガン』で最も重要だと感じている要素です。
それはピート・“マーベリック”・ミッチェル大尉を演じる
“トム・クルーズ”と彼が乗り込む“F-14 トムキャット”
◆トム・クルーズ
説明不要な80'sのデビューからハリウッドを牽引するスターの一人。
スパイになって世界の危機を救い続けたり、麻薬を密輸したり、
逆に麻薬を密輸する将軍を追い詰めたり、
時にはミイラと戦ったりするナイスガイ。
◆F-14 トムキャット
1作目『トップガン』公開当時、米国海軍によって運用されていた
第4世代ジェット戦闘機。
後退可変翼が特徴的な艦隊防空戦闘機
しかし、残念ながら2006年に退役、米国海軍での運用は終了しています。
『トップガン マーヴェリック』の制作が進んでいることをネット記事を見たとき、
私は「あの名作の続編が!?しかもちゃんとした正統な続編!?」という喜びと
「F-14とっくに引退してるけど…?」不安を同時に感じました。
なぜ私は「F-14 トムキャット」にこだわるのか
簡単な話です。
ちょーかっちょいいから
飛行速度に合わせて最適な揚力を得るために可変式となった主翼
それによって可能となったあのデカい図体に見合わないドックファイト能力
エンタメそのものみたいな機体に惹かれたのです。
ただ映画を観た結果、私の持っていた変なこだわりと不安感は全くの無駄でした。
『トップガン』のドラマ
“単にかっちょいいから”、それだけが理由ではありません。
F-14のもう一つの特徴として“複座式戦闘機”であることが挙げられます。
ざっくり言うと、F-14を飛ばして戦うには2人の人間が必要なんです。
一人は前席に座り戦闘機自体を操縦するパイロット、
もう一人は後席に座り搭載された兵器を扱う「レーダー迎撃士官」と呼ばれるレーダー員が搭乗しています。
ひとつの機体にふたりの人間。
コックピットという狭い空間で2人の人間が運命共同体となって戦う。
そこには非常に濃いドラマが生まれます。
『トップガン マーヴェリック』のドラマ
先述した通り米国海軍からF-14は既に退役、
後継にはF/A-18E/Fという機体に更新されていて、劇中でもその状況は反映されています。
ここで私が気になったのは「E/F」の差。
E型は搭乗員が1人の“単座型”、F型は搭乗員が2人の“複座型”という違いがあります。
しかし予告編を見る限り、マーヴェリックは教官として単座型のE型に搭乗、他のパイロット達は複座型のF型に搭乗しています。
「1作目で仲間と共に闘い、強い絆を作り出したマーヴェリックはまたひとりに戻ってしまうのか…」
予告編から一抹の不安を感じてしまいました。
いよいよ公開日の劇場
そんな事をいろいろ考えているうちにあっという間に公開日。
よくレイトショーを観に行くシネコンに向かい、いよいよスクリーンへ…
そしてまず観客の多さにびっくり!
公共交通機関ではアクセスしづらい立地にある上に、
レイトショーだと、だいたいどんな作品でも人が多すぎずも少なすぎず…
しかしさすが『トップガン』の続編、いつもの客層にプラスで
恐らく会社帰りであろうYシャツを着たビジネスマンらしき方がちらほら
僕でさえ『トップガン』の続編というだけでワクワクが止まらないのに、
リアルタイムで体感したであろうお父さん方はもっとドキドキでしょう。
父は右隣の席でポップコーンを抱えながら「予告は何かな?」とテンションは高め。
本編にワクワクじゃないんかい。
これは…『トップガン』だ…!!
客席が暗くなりスクリーンの輝度が上がる。
空母とせわしなく動き回るデッキクルーのシルエットが映し出される。
甲板にたちこめる水蒸気と射出位置につく艦載機。
BGMにはケニー・ロギンスの『Denger Zone』
私は一発で“分からせられた”
「これは映画『トップガン』、『トップガン マーヴェリック』なのだ」
この特徴的なシーンにBGM、もはや説明不要。
有体に言ってしまえばこのシーン、実は本編に一切関係ない。
マーヴェリックはもちろん、登場人物たちは一切映らない。
ただ「空母から戦闘機が発艦してるだけ」で、なんなら1作目と全く同じ作りのシーンである。
運用機体が当時から変わってる?複座式と単座式?
そんな小さいことはどうでも良いのである。
「これからお前らが観るのはトップガン、その続編だ」と暴力的なまでの説得力で一気に世界観に引き込まれてしまった。
サウンドトラックに収録されているLady Gaga『Hold My Hand』
再生しながら読むと良い感じです
トム・クルーズ = ダークスター
マーヴェリック大佐は米海軍で唯一、過去40年で3機の撃墜記録を持つ唯一のパイロット。
しかし昇進を拒み、砂漠の基地でテストパイロットをしている。
そんなシーンからストーリーが始まる。
彼が乗り込むのはスクラムジェットエンジンを搭載した超音速テスト機「ダークスター」。
ところが目標値に設定されたマッハ10に到達することがなかなかできず、エド・ハリス演じるチェスター・マケイン少将が計画の凍結を伝えに基地に訪れる。
少将は「これからは無人機の時代が来る、ダークスターのような有人機のテストはコストのムダだ」と主張。
それに対してマーヴェリックはテストを断行、見事マッハ10を達成するも更に速度を出そうとした結果ダークスターは空中分解、綺麗に散ってしまいます。
私はここにマーヴェリック、トム・クルーズ自身の映画そのものに対する信念みたいなものを感じました。
今はMCUのようにゴリゴリの3DCGやVFXを用い、グリーンバックで撮影した非常にエキサイティングな映画を観ることができます。
もちろんCGやVFXはその作品のクオリティをより高める“ツール”であって、それを活用することでストーリーや演じる俳優自身が手を抜いてるとは微塵も思っていません。
トム・クルーズはどんなアクションも自身で演じる事に強いこだわりを持っていることが知られています。
ブルジュ・ハリファの窓に張り付いたり、離陸する輸送機のドアにしがみついたり、ビルを飛び越え肋骨を骨折するもそのまま演技を続けたりとインポッシブルなアクションを自らこなしてきています。
また劇場スルーでサブスクなどの配信限定という形より「映画を劇場で体験する」に重きを置いている人でもあります。
技術の発達によって世が便利になる事は決して悪いことではありません。
しかし今まであった体験や形をすべて置き換える必要もない。
レガシーを大切に、時代に迎合しすぎない彼のスタンスそのものが“UAV 対 ダークスター”の構図に垣間見えました。
最高に完璧なバランス
古い映画のリメイクや十年単位を空けての続編。
私が思うに多少メタ要素がありつつも、
旧作のネタと新たなストーリーのバランスが大切な要素の一つであると考えています。
背面飛行でのコックピットの接近、誘導路をバイクで駆けるシーンなど1作目のオマージュなど数多くのトム要素。
1作目で情熱的に描かれる恋愛パートも時代の流れに合わせ、中年の残念な一面をユーモラスに描いたり。
“続編”として膨れ上がった期待を余裕で飛び越えていく最高に完璧なバランスで仕上がっていました。
まだまだ感想はあるけど…
まだまだ感想はたくさんあるけれど、公開からかなり時間が経過してしまいましたし…
敵の“ならず者国家”とはイランとロシアのハイブリッドなのでは?とかトマホークと一緒に飛ぶF-14とかね。
もし万が一これを読んで『トップガン マーヴェリック』が気になった場合、私より遥かに機敏な感性で、素敵な文才で感想を記されている方がたくさんいらっしゃるので、映画本編そのものの感想は他の方のnoteなどをご覧になる事をお勧めします。
可能ならまだギリギリ上映されてると思いますので、ぜひとも劇場に足を運び、デカいスクリーンで高品質な音響で体験してほしいなと思います。(22/07/01現在)
今回は『トップガン マーヴェリック』を観て、特に自分が強く感じたことを記しました。
ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました。
それでは、また次の機会に…