人生は交わらない

 年を取ると、友人たちと会う機会が減る。別に仲が悪いわけではない、久々に会えば朝がくるまで飲んでしまうし、今でも気軽に旅行するくらいには仲が良い。それでも学生時代と同じリズムでは会えない。会社員の友人は土日以外は休めないし、個人事業主の友人は曜日関係なく働いているし、無職の僕ですら海外での挑戦のために専門分野と英語を勉強する日々を過ごしている。僕は20代中盤だが、このくらいの年齢になると皆暇ではなくなる。それは仕事のせいだけではなく、結婚を想定した恋人との付き合い方も関係している。
 やはり二十代中盤で付き合っている恋人は結婚相手にすることを想定しているのだろうと思う。大学生のような性欲だけで出来上がる野性的な関係ではない。共に人生を進めるパートナーとして適任かどうかを確認するような恋愛を皆しているのではないだろうか。
 仕事と恋愛、大体はこの二つが原因で友人と会う時間は減る。それが悪いことではない、各々が人生を進める中でたまに会い、どれくらい成長できたかを報告し合うような飲み会は面白い。しかし、毎週のように会い、くだらないことで笑いながら酒を飲むような関係を保つのはとても難しいことなのだろうと思う。特に地方に住んでいると疎遠になってしまいがちだ。
 社会で生きていくにつれて、僕たちの人生は自分の色に偏っていく。そして選んだ道に進む、その道は決して他人と交わらない。だから、今という一瞬は大切にして生きなければならない。今簡単に会える友人との間に”次”があるのかは誰にも分からないのだから。

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