![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/54852933/rectangle_large_type_2_57c5ee6a729dfe545d6bcaf07a5f9ef7.png?width=1200)
僕の台南物語(3)日中対訳付
【日本語】
2015年4月。
横浜の根岸森林公園を出て少し歩くと、坂道の途中にドルフィンというお店がある。
ユーミンの「海を見ていた午後」という古い曲を聞かせた時、歌詞の一部でこの店の名前を耳にした彼女が「いつか行ってみたい」と言っていた場所だ。
そして僕はまた、彼女と初めて会った時のことを思い出していた。
初めて会ったとき、平静さを装いながら僕たちは緊張していた。
それは、並んで写っている一枚の写真を見ればすぐわかる。
適度の距離感を保ちながら直立の二人は、入学式の中学生みたいで可笑しい。
言葉の壁、文化の壁、風習の壁・・・。
僕たちは、あの日を境にお互いの間にあるその壁をひとつひとつ取り除いていった。
そして、振り返れば今、僕はいちばん大切なものを失ってっしまったのだと、あらためて気付くんだ。
ーーー 過去に戻ることができるなら・・・
時々僕は、そんな馬鹿げたことを本気で願うようになっていた。
◇ ◇ ◇ ◇
2012年12月30日、台南駅の前。
「台南車駅」と書かれた白い駅には台湾の赤い国旗が青空の中にはためいていた。
駅前は人と車が入り乱れ、待ち合わせの場所がどこなのか少し緊張した。
僕はそこで詠晴(ヨンチン)に電話をした。
「喂~(もしもし)」
--- 詠晴だ!
「あ、あの、我,我已經,到了(着いたよ)」
「Kei san!我馬上去,請等我一下!(圭さん!今、すぐ行くから待っててね)」
初めて聴く詠晴の声は、明るく弾んだ様子で、僕は緊張が少し溶けた。
僕は、約束通り台南の旅行ガイドブックを胸に抱くようにして、彼女が来るのを待った。
ーーー ドキドキしていた。
(どんな女性なんだろう・・・)
やがて通りの向こうからひとりの女性が小走りに近づいてきた。
「Kei san・・・?」
「詠晴・・・?」
少し息を切らしながら彼女は、丁寧にお辞儀をし、「はじめまして」と日本語で言った。
僕の台南物語の始まりだった。
【中国語】
※正式なネイティブチェックは受けていませんので、文法上の間違い等があること、あらかじめご了承下さい。
2015 年 4 月,橫濱。
離開根岸森林公園後走一小段路,
就會在斜坡上找到一家叫"Dolphin"的咖啡店。
我們一起聽”Yuming"的老歌「海を見ていた午後」時,
她發現在歌詞中這家店的名字,說“有一天我想去”。
我還記得我們第一次見面時的事。
我們第一次見面的時候,我們故作鎮定,可是都很緊張。
這容易發現通過查看我們兩個並排顯示的一張照片來。
我們在保持適當距離感的同時,兩人就是好像入學式上初中生一樣緊張,很有趣。
語言之牆、文化之牆、風俗之牆・・・
從那天起,我們一一拆除了彼此之間的牆。
當我回頭看時,我還是再次意識到我失去了最重要的東西。
ーーー 如果可以回到過去的話・・・
有時候我真的渴望這樣一件愚蠢的事情。
◇ ◇ ◇ ◇
2012年12月30日,台南車站前。
在標有”台南車站”的白色車站,台灣的紅旗在藍天中飄揚。
車站前人車混雜,我有點緊張在哪裡可以見面。
我在那裡打電話給詠晴。
“喂~”
ーーー 是詠晴!
“啊,哈囉,我,我已經到了。”
“Kei san!我馬上去,請等我一下。”
第一次聽到的詠晴的聲音,彷彿明亮地彈了起來,讓我有些放鬆。
我如約,將台南旅遊指南抱在胸前,等她來。
ーーー 我心頻頻地跳。
(她到底是個什麼樣的女生呢・・・)
不久,一個女生從街對面跑了過來。
“・・・Kei san?”
“・・・詠晴?”
她有些喘不過氣來,禮貌地鞠了一躬,用日語說:“はじめまして”
這就是我的台南故事的開始。