【カラダ】子どもにトレーニングは必要なのか?
中学生にトレーニング指導をしている身ではありますが、子どもにトレーニングは必要なのでしょうか?
私の個人的な考えでは、子どもにトレーニングは必要ありません。
運動機能の機能不全
成長期とは、体全体の“機能”が成長しています。
細胞が増えたり大きくなったりすると同時に、その役割、働きも成長します。
臓器の場合は、おそらく、食べる・排泄する繰り返しで育っていきます。
筋肉と骨の“機能”は、動かすことで育ちます。
言葉を変えると、繰り返される動作、繰り返される姿勢で体が“学び”“習得”します。
トレーニングをしないと習得できないのか?
元々持ち合わせている“機能”は自然に習得されます。
食べる、排泄すると一緒です。
初めは臓器の成長を安定(?)させるために寝返りが打てないようになっています。
それから胸郭の位置が変わって寝返りを打てるようになり、
準備ができるとハイハイするようになり、
筋力が伴ってくると二足歩行にチャレンジします。
(*注 順序はあっていますが、理由は不確かです)
筋肉には収縮する順序があったり、骨と骨(関節)の動きにもそれぞれ規則があります。これらは元々持ち合わせているものです。
二足歩行になった後、成長期に体を動かすことによってこれらの機能(筋肉の収縮順序、関節の規則)を高めて確実にしていきます。考えて行うものではありません。
だから子どもたちの運動機能不全は“異常”です。
成長に異常をきたしている。「不全ならトレーニングすればいいじゃん」なんて簡単な話ではありません。
子どもにトレーニングを促す危険性
本来体(骨や筋肉)の機能は、遊んだり、家事を手伝ったり体を動かすことで学ばれていきます。誰かに教わるものではありません。
記事のタイトルに入っている雑巾掛けでは、肩甲骨、体幹、脚力など全身を鍛えることができます。ですが「雑巾掛け」は本来トレーニングではなく掃除です。床を綺麗に拭くための方法なので、しっかりと床を拭くことができるように力強く、でもさっさと終わらせたい(が理由かどうかは分かりませんが)ために素早く走ることが必要でした。その結果、体の機能が備わりました。
ヒトの骨や筋肉は、部分的に動くことはあまりありません。
だから部分的に筋肉を鍛えることはあまり好ましくありません。
ある部分だけを鍛えると、他の部分との調和が取れなくなるからです。
詳しい話は割愛しますが、ものすごく単純な例を挙げると、上体起こし(クランチ)ばかりをして腹筋だけ鍛えると背筋は弱くなります。
椅子から立ち上がる動作に注目をしてみます。
必要なのは脚力だけではありません。
足の裏も当然使いますが、上半身も使います。全身です。
立ち上がり動作とはスクワットのことです。
スクワットをするときに上半身まで気にして行っている大人はどれだけいるでしょうか?これを知らない大人が子どもにスクワットを教えたらどうなるでしょうか?
体を鍛える目的は、ほぼ全て、重力のある地球上で二足歩行で快適に生活をするためのものだと、私は思っています。だから重力に逆らう方向に体を維持する筋力を鍛えます。重力に向かって力が入ることは好ましくありません。
これが上半身の動きを無視したスクワットが好ましくない理由です。
正しいスクワットってなに?
トレーニング面倒臭くない?
だから、トレーニングでスクワットをするのではなく、立ち上がる動作を習得させた方が良いのです。
自宅でスクワットを取り入れるより、
「姿勢良く立ちなさい」「素早く立ちなさい」と指導をした方が実用的です。そして役に立ちます。
トレーニングは“部分的”な筋肉に注目されがちです。
部分的なトレーニングは全体のバランスを崩します。
定規を背中に入れるのは虐待か?
「おばあちゃんに背中に定規を入れられて、姿勢を直された」というネタの漫画を何度も見たことがあります。
その方法が最善かどうかはわかりませんが、子どもの頃のこういった強烈な指導によって“習得”をした姿勢は、案外大人になっても残っているものです。
私が小学生だったころの40年くらい前は、授業中は前を向いて静かにすることを守るように指導されました。今はもっと自由なようです。
「健康のために良い姿勢を指導する」ことが虐待だと言われてしまったり、個性をなくす指導だとされてしまうのは悲しいと思います。
今多少の窮屈さを感じたとしても、将来を考えて、トレーニングなんかを指導するよりも「ちゃんと姿勢を正しなさい」と教えてあげた方がよっぽど親切だと感じます。
私が思う子どもの姿勢が悪い一番の原因
親です。
姿勢の悪い大人がたくさんいます。
赤ちゃんと一緒にいるのにずっとスマホを眺めている人なんてたくさんいます。その人がキレイな姿勢だったことはありません。そして赤ちゃんは無表情です。
カフェで、赤ちゃんとおしゃべりしているママさん見ると、嬉しくて感動したりするほどです。本来はこちらの光景が当たり前のはずなのに。そして赤ちゃんはニコニコしています。
“姿勢”は親、またはすぐ近くにいる大人から習得します。
親子で歩き方がそっくりなのは“学び”によるものです。遺伝ではありません。
側湾症のある人も親が側湾症であることがほとんどです。親の姿勢を無意識のうちに学んでいます。
子どもの姿勢が悪いということは、その親や周囲にいる大人の姿勢が悪いからです。
姿勢や仕草が綺麗な親の子どもも綺麗であることが多いです。
だから子どもにトレーニングは必要はないと思います。
大人が、親が、自分の姿勢を改善すれば、子どもはそれを見て学びます。
スポーツをやってみたり、音楽をやってみたり、遊んでみたり。
その中で“子ども自身”が何かうまく行かないと感じたり、考えて工夫してもうまく行かなかったり、もっと向上したいと思ったらプロの出番です。
遊び場がない、スマホが悪い、というのは言い訳でしかないと私は思います。
余談
10年以上前に出版社の方と話をしていた時のこと。
「自宅でできるトレーニング」という内容の本を出版してはどうかという話になりました。
「簡単にできて、即効果が出る」内容でと言われたので
「それならわざわざトレーニングをせずに家事をすればいいのでは?」
と、半ば嫌味を混ぜて言ってみました。
担当さんは男性で「なるほど?」と、会社の女性に話(相談)をしたら大激怒されてしまったのだそうです。
「家事になんて労力を使いたくないんだ。だからルンバが売れるんだ。」だって。
変な話ですよね。家事には労力を使いたくないけど、お金と時間を使ってスポーツジムに行って労力を使うわけでしょ?
スポーツジムで体を動かすことが好きでそれが趣味なら構いません。楽しいは何よりです。
ですが、面倒なことは嫌、できるだけ動きたくない、美味しいものは食べたい、好きなことだけやって過ごしたい、そして痩せたい、綺麗でいたい、だから簡単で効果的な運動を教えては、とてもおかしな話です。
と、これも出版社の担当さんに言ってみたのです。
すると、やはり出版社の女性たちが
「仕事をしている人はみんな忙しく疲れているんだ。だから家事なんてやりたくないんだ。」
なんですって。
スポーツジムには行きたくない。だけど痩せたい。「あ〜運動する場所がない〜運動する方法がわからない〜」と言いながらルンバを起動させてお菓子を食べるんですかね。
と言ったら、担当さんは流石に笑っていました。
子どもの問題を社会問題だと思うのであれば、まずは己を見直しましょう。
私自身にも言い聞かせています。
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株式会社りとるジム
カラダとココロのメンテナンス
www.littlegym.jp
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