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はじめは薄い一枚の半紙だった



はじめは一枚の薄い半紙だった
頼りないペラペラの

ある時子ども向けの造形教室を開くことになった
そこでつくったり描いたりする内容を
毎回一生懸命考えて子どもたちと遊んだ

楽しそうに時を過ごす子どもたち
気づけば毎回、その日の終わりには
自分が温かいもので満たされた

「ペラペラ」だけど
「少しだけ厚みがある半紙」に
なった気がした

時々いた、思うように描けなくて泣く子
外に飛び出していってしまう子
お母さんに連絡しながら
飛び出して行く子を追いかけた

そんなことがあった日
「少しだけ厚い半紙」は
濡れてふにゃふにゃになった

でも日光で乾かせば
次の日にはまた「少しだけ厚い半紙」にもどった
形は波打ったけど

はじめは一枚の薄い半紙だった

それから
そんなことが何年も続いて
気づいたら、波打った「少しだけ厚い半紙」は
「結構分厚い和紙」になっていた

何度も温かいもので満たされて
何度も濡れてふにゃふにゃになって
何度も日光で乾かされた
「一枚の薄い半紙」は
気づけば、波打った「結構分厚い和紙」になっていた

立ててみると「ハッ」
一瞬バランスを保ったりする
でもまたヒラリと
机の上に横になった

はじめは一枚の薄い半紙だった

バランスを保てる瞬間が来るなんて
思いもしなかった

そこから何年か経ち
その波打った「結構分厚い和紙」は
あろうことか
一本の「柱」になっていた

何度、温かいもので満たされただろうか
何度、濡れてふにゃふにゃになっただろうか
何度、日光で乾かされただろうか

そうか
あの子たちが
あの人たちがいてくれらから
「一枚の薄い半紙」は
一本の「柱」になれたんだ

なるほど
一度「柱」になると
倒れにくい

ただ、素材が紙なので
相変わらず水には弱くて
時々ふにゃっとなるけど

それでも
波打った「柱」は
屋根を支えるために
他の柱や壁と力を合わせて
役目を果たしたいと
そんなふうに思う

今もいろんなことが起こって
その「柱」は毎日

満たされて
ふにゃっとなって
ふにゃふにゃっとなって
乾いて
満たされて
を繰り返している




























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