生活介護事業所立ち上げまでの記録#9
4月1日
さて、今日から法人での物件契約となり、通信工事や電気、ガス、水道の開通、さらに荷物も運び込むことになった。
契約書にサインして銀行に引き落としの手続きに行ったり、他の工事の相談もしたり、忙しく動いた。
4月2日
今日は同じ市内の方に、お蔵に眠っていたという椅子をいただけることに。
法人の車でスタッフさんと引き取りにうかがった。
しっかりとした造りで、きっと年齢は自分より上?の椅子。
この場所でみんなが使うところを想像して嬉しくなった。
他にも洋服かけや、靴置きもいただいた。
場所場所に設置してみるとサイズがぴったり。
法人の車も納車してもらえた。
任意保険にも加入完了。
4月4日
書類作成が山積していて、あまりに身動きが取れないので、スタッフさんたちに体験会のチラシ配布をお願いする。今週近隣の市に持って行ってもらえることに。
身体が一つでは足りない。でもスタッフさんたちと一緒なら頑張れる。
工事業者さんが来られるので事業所の鍵を開けるためにノートパソコンを持って移動し、そこで書類作成の続き。
ガンガンの工事が始まり、前方の道も道具や足場でにぎやかに。
夫を通じてのお友達のご夫婦から、看板にできそうな作品やベンチなどもいただく。
どのように使わせていただこう。
考えるだけでワクワクしてくる。
4月5日
朝から夫と、家に預かっていた荷物の残りを事業所に運び込んだ。
その後、裏手の工事が終了。
少しずついろいろ進める。
夕方、事業所指定の一次審査通過の連絡が大阪府から入った。
これまでのいろいろな準備シーンが走馬灯のように浮かんで回る。
どれが欠けてもたどり着かなかった今。
4月6日
パンフレットのデザインがだいぶ固まってきた
デザイナーさんやスタッフさんとデザイン案について連絡を行ったり来たり。
4月7日
パンフレットに載せるためにホームページ制作を急いだ。
それと同時進行でSNSをまとめるための管理サイトの利用手続きをした。
難しい。
4月8日
デザイナーさんにパンフレットに載せてもらう文章の訂正分を送ったり、SNSの管理サイトを登録完了。
スタッフさんと押入れ収納の相談。
4月9日
事業所の送迎車の車体に付けるステッカーの打ち合わせで、看板のデザイン会社へ。
ひとまずデザイン案を出してもらうことに。
磁石ステッカーは、太陽に弱く、塗料が車体に付いてしまうことがあるので、気をつけて扱うことも教えていただいた。
4月10日
今月も追加で体験会を開くことになった。
アトリエに来るのをすごく楽しみにして下さっていた参加者さん。
出来上がった絵を、何度もスタッフに見せに行かれていた。
スタッフも体験会の回を重ねるごとに、仕事に充実感を覚えていってもらっているよう。
やって良かった。
体験会の後は、パンフレット用の写真撮影をしていただいた。
撮影してくださったのは、パンフレットのデザイナー前田さん。以前からお世話になっている。
今回は法人の理事のプロフィール写真。
公園での撮影会。
たまたまそこで遊んでいた小学生のギャラリー付きで。
天気が良くて、陽の光が眩しかった。
デザインができて写真も撮れるのはすごいな。
パンフレットが楽しみでしょうがない。
4月11日
以前からお世話になっている生活介護事業所の訪問。
施設長さんやスタッフさんとお話しすることができた。
この一年の自分について、
「本当に本当によく頑張ったね。」
と言っていただけた。
それだけで寿命が延びた気持ちになった。
自分だけでなく、スタッフさんと出来ることを見極めて、手を広げすぎない大切さも教えていただけた。
20年以上、施設を運営されてきた方のお言葉は大きく深い。
4月12日
今日できたこと。
電気料金の引き落とし手続き、
アトリエの絵の具買い足し、
デザイナーさんに送金、
指定時研修の動画受講、
アトリエ工作の試作、
税理士事務所に税金についてメール
スタッフさんと名刺づくりの相談で電話。
いろいろと盛りだくさんの一日。
4月14日
今日はまた以前からご指導や相談に乗って頂いている他県の生活介護事業所にスタッフさんと訪問した。
思いが強すぎてやりたいことを広げすぎないように、代表の方に冷静さを取り戻していただいた。
着実に出来ることを進める。そうすれば大丈夫と。
帰り際に、スタッフさんと私に、力強く握手をしてくださった。
この握手はきっと一生忘れない。
4月16日
今日はご利用希望者の保護者の方々と面談があった。スタッフさんにも来ていただいていたのでスムーズにお話しも終了した。ご本人やご家族の思いと状況を確認できて良かった。
4月18日
朝から事業所が始まったら利用メンバーさんにお渡しする「重要事項説明書」の補足を進める。
その間に、昼食でお世話になるお弁当屋さんから支払い方法について電話があり、その対応中に保険会社の方と車のステッカー屋さんからの連絡も入る。
それらをスタッフさんに報告メールをしてから、
「重要事項説明書」を仕上げて、
その後、今月行うスタッフ研修の時のプレゼンを作成。
そのあと、朝から楽しみにしていた地元のリサイクルショップへ。
食器類や、お鍋、お盆など、事業所に欲しかったのもが一気に揃った。新品がこんなに安いなんて。
4月19日
今日はスタッフさんに運転をお願いして、再度昨日のリサイクルショップへ。
実は昨日、事業所に置けそうなローソファーを見つけていた。L字型や対面型にも置けて使いやすそう。
クッションのへたりもない。
しかもみたことがないくらいの破格の値段だ。
商品を吟味していると、事業所のスタッフさんがソファーに糸のほつれを発見してくれて、それを店員さんに伝えると、なんとさらに、
というか急に、
値段が半値以下に。
こんなことが起こると、
神さまに事業のスタートを応援してもらっていると思い込んでしまう。
絶対そうだ。
思い込みが激しい自分でいたくなる。
4月20日
今日はアトリエ中に事業所の見学に来たい人がいると相談支援員さんから連絡があった。
来月からの始まりに向けて、少しずつ問い合わせが来ていて嬉しい。
ソファーが来て、ゆったり過ごせる場所のイメージがより鮮明になってきた。
絵を描いていて休憩したくなった時、少し考えごとをしたい時、ボーッとしたい時、寝たい時などに、二階にあるこのスペースに来て、ゆったり過ごしてもらえたらいいなと思っている。
4月22日
今日は事業所のパンフレットが届いた。
大好きなデザイナー前田敏幸さんにお願いして、素晴らしいパンフレットが出来上がった。
小っ恥ずかしかったプロフィール写真が、
今見ると、とてもしっくりくる。
撮って貰えて本当に良かった。
内容もわかりやすい。
デザインには、人や場所、事物、そして人の心をを豊かにする力があると思う。
「誰がデザインしたのかわからないデザイン」って、
凄いことだ。
クライアントに合わせて七変化できることは、
誰でもができることではないと思う。
デザイナーさんが普段どれだけ生活の中で遊びを取り入れているか、経験しているか等が、デザインの引き出しの多さや厚み、奥行きとなって、現れるように思う。
一見、自己表現には見えないけど、やっぱりデザインも自己表現なのだろうか。
4月24日
今日は立ち上げ前の最後の体験会だった。
楽しんで参加している人たちを見ると嬉しかった。
使われる画材はさまざまで、
パステルや水彩、粘土や色鉛筆など。
一つの部屋でいろんなことが行われる様子が面白い。
その後は初めてのスタッフ研修を開いた。
立ち上げ前に私の気持ちや、制度について、障がいのある人が描くアートについてなども管理者と支援員になるスタッフさんからお話しいただいた。
4月27日
今日はとうとう、
大阪府の指定書が届いた。
これまで一年間、長く険しい日々だったが、
やっとスタートラインに立てた。
これからはまた違った険しさ、楽しさ、充実感、
などがあるのだろう。
チームで共有するそれらは、どんな景色だろう。
自分は何を学ぶのだろう。
4月30日
今日はまたリサイクルショップで良いものが手に入った。
このところずっと探していた炊飯器。
フリマサイトでもオークションでもなかなか良い物が見つからずだった。
昼食時はメンバーさんもスタッフも、
皆で温かいご飯をいただく。
やっぱり炊き立てがいい。
人数が多くなった時を考えて、
一升炊きがどうしても欲しかった。
ふと思い立ってリサイクルショップに行ってみたのが良かったようだ。
デッドストックでほとんど新品。
価格は破格。
出会うべくして出会った炊飯器。
これからお世話になります。
さて、大阪府5月1日指定でとうとう
明日から事業所が始まります。
初日はスタッフさんで集まって、団結を深める会を開くことになりました。
東京からずっと応援してくれていた旧友が食事を作りにきてくれる。
色んな人たちに支えられて、やっとここまできました。
これまで私の相談に乗って下さった皆様、ご尽力下さった皆様、応援下さった皆様、本当にありがとうございました。
この「生活介護立ち上げまでの記録」の note はこれで最後となります。
これから福祉事業を立ち上げる誰かのために、また自分の振り返りのために、一年ちょっとの間書いてきました。
「あの時こう思っていたな。」とか、「よくスムーズにいったな。」、「思っていたより滞った出来事あったな。」と、今読み返しています。
行政とのやりとりの大変さ、交渉の大事さ、人の温かさ、お金の大切さも、痛いほど学びました。
経営は自分の想像をはるかに超えて、工夫や技量が要りそうです。でももう、向いている向いていないの話ではなく、やらなければなりません。
利用メンバーさんのため、スタッフさんのために、残りの人生に全力を使っていきたいと思います。
「そんな自分」になれるよう、このスリリングなお仕事をこれから楽しんでいきたいです。
最後までお読みくださった皆さま、ありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願い申し上げます。
小原 緑
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