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「共震」の時代

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「共震」の時代-3

前回は、共震が起こっていると思われる例を2つ挙げましたが、今回は共震そのものや、共震に至る心理的なメカニズムが引き起こしていると考えられる弊害について考えてみます。ポイントとなる共震のメカニズムは、第1回でも言及した「無意識的」に起こるということ、加えて「脊髄反射的」に起こるという2点です。
 
 ここでまた一つ例を挙げたいと思います。

 小学生の子どもを持つ母親(Aさん)の家で、同じクラスのマ

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「共震」の時代-2

 前回は、現代社会において共感を得られる事物こそが価値あるものであり、人が自分の価値を高めようとした結果、無意識の自動的・受動的共感をし続けている状態、つまり「共震」の状態にあるのではないか、ということについて書きました。今回はもう少し具体的に、「共震状態を表していると思われる事象」について考えていきたいと思います。
 
 私が特に象徴的だなと感じているのは、「当事者の代わりに怒る人々」です。例え

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「共震」の時代-1

○○の~~な姿が、多くの人々の共感を呼んだ
こんな言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

いつの頃からか、世の中における物事の価値は「共感している人の多さ」で示されるようになりました。
テレビや映画では冒頭のような売り文句を掲げますし、その他イベントや物品といったコンテンツでも「SNS上でどれだけいいね・シェアされたか」が評価の一部となっています。

たしかにマーケット(物の売買)に

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