「DaBYコレクティブダンスプロジェクト第1回新作トライアウト&実談演習」演出・振付:鈴木竜
Dance Base Yokohama(DaBY)の「DaBYコレクティブダンスプロジェクト」の発表。現地会場での鑑賞はチケット2000円、YouTubeでのライブ配信での鑑賞は無料。
約30分の公演後に、「実談演習」と称する申込者限定の会が行われるという2部制。公演のみYouTubeで視聴した。
会場ではスタジオのようなやや雑多な空間に、ダンサーがおそらく4人いて、観客はパイプ椅子に座って見ているようだった。大型テレビくらいの大きさのモニターに、横浜のみなとみらい地区の辺りを移動しながら撮影したと思われる映像が映し出されている。
ダンスを捉える映像は2つあり、別の角度から撮影されている。その2つの映像と、横浜の街を撮影した映像の計3つの画面が、Zoomで映し出され、YouTubeではそのZoom画面が配信された。
途中でダンサーが1つの映像を撮影したり、その映像が中断されてZoom画面が2つだけの映像になったりもしていた。
ダンスを捉える2つの映像は、ネット回線の影響か、ほとんど常に動きがずれているようだった。意図的か偶然か?
鈴木竜氏が、「○○(名前)、~~~~」というように、会場に流れる音声で指示=タスクを出し、ダンサーや音楽担当者や美術担当者がそれに即興で応えていくことで進む。「観客の皆さん、30秒目をつぶって、それから開けてください」というような指示も複数回あった。
ポストモダンダンスの「(即興的)タスク」の手法を連想した。
出演者たちは30分間、強い緊張を強いられたはずで、会場で鑑賞していたら観客もその緊迫感を得られたかもしれない。
しかし、Zoomのぼやけた映像でそうした現場の空気感を味わうのは難しく、また1つの画面に映像が2つか3つは並んでいる状態なので、映像が小さくて動きもよくわからない。
各自に向かってタスクが出されるが、映像では動いている人たちの区別も付きにくい。もっとも、皆同じような服装をしていたので、もしかしたらそれは意図的だったのかもしれないが。
まだこれは創作過程とのことなので、今後、コンセプトがより明確になる形でブラッシュアップされていけば、面白い作品になるのかもしれない。しかし、どうなるかは、30分のトライアウトを見ただけではまだなんとも判断できなかった。
アートでもダンスでもコンセプチュアルなものはあり、それらを鑑賞するにはどうしてもそのコンセプトを「言葉」で知るという作業が必要になる場合が多い。それに異論はないが、「言葉」なしで体験しても、ある程度何かしら「うわっ」と思えるところがなければ、やはり作品としては弱いのではないかと個人的には思ってしまう。
この作品が今後どのように発展するのか楽しみだ。
作品情報
【日程】トライアウト:8/30 (日) 16:00~16:45/実談演習:同日17:00~
【場所】Dance Base Yokohama。トライアウトはZoom映像をYouTubeでライブ配信、実談演習は申込者のみZoom参加
■事前オンライン公開の4つの「fragment」のリンク
1 被膜について
2 境界線について
3 地形について
4 記憶について