「テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ」国立新美術館
「光」をテーマに、18世紀から現代までのテート美術館所蔵作品を並置して展示。絵画が主だが立体作品もある。
ウィリアム・ブレイクの作品が見られてうれしい。ジョン・エヴァレット・ミレイの《露に濡れたハリエニシダ(Dew-Drenched Furze)》などを見ると、人が描いた絵を通して自然の美しさを発見するみたいなことが芸術にはあるなと思う。
光はどうしても宗教性、神秘性を帯びる。光は人間が生きる上で必要だからだろうか?
ヨーゼフ・アルバース、マーク・ロスコは巨匠だが、やはりいい絵だなと思う。ブルース・ナウマン(Bruce Nauman)の《鏡と白色光の廊下(Corridor with Mirror and White Lights)》は、1人ずつしか鑑賞できない。外側から見ると、大きな(木の)板が2枚、数センチの感覚を開けて平行に置かれている。その隙間からのぞくと、天井に電気、正面奥(と板も?)が鏡になっている。光にあふれている。通れそうで通れない狭さなので、行きたいのに行けない。そのもどかしさがなんかいい。
オラファー・エリアソンの作品は2つあった。1つは《黄色vs紫(Yellow versus purple)》。黄色く光る円盤が天井から下がっていて、その光がほかの光を発する細長い物体に当たって、紫色の円盤が壁に投影されてぐるっと部屋を一周する(?)作品。2つ目は《星屑の素粒子(Stardust particle)》。天井から釣り下がったミラーボールみたいな物体がキラキラ反射して、宇宙的。子どもがその物体に手を伸ばしたりする光景が見られた(届かない高さにあるのだけれど)。
リズ・ローズの《光の音楽(Light Music)》も気になった。白い部屋の壁に鑑賞者の影が大きく映り、光が充満して、音が流れている。心地い音というわけではないがずっと聞いていそうになる。
予想していたよりも、「光」のテーマを突き詰めてはいない。「精神的で崇高な光」「自然の光」「室内の光」「光の効果」「色と光」「光の再構成」「広大な光」というふうになんとなくの要素でチャプターを分けている感じ。
広い展示空間はうまく活用できていた。
企画展は常にそうだが、パッケージとして見せられると、いい作品なんだねと思わされて見てしまうところがあるかもしれない。いろいろな作品が常設展として(今回の場合はテートに)並んでいたら、自分でいいとか好きとか判断もできるかもしれないけど。展示には大したことない作品もあったと思うが、それも大層なものとして見せることになってしまうというか。常設展でいい作品がたくさんある美術館が身近にある所で育てば、自分で作品を判断する力がつきやすいのだろうなあ。
学生など若者が多く来ていた。きれいなものを見に来る感覚?遊びに行くおしゃれなスポット?それでもいいのかもしれない・・・。
特に衝撃を受けることはない展示だった。「光」を感じることはできたけど、外に出たら強烈な太陽光も感じられるしなあ。