アジア系へのヘイトクライムに抗議する動画をバレエダンサーたちが発信
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック後に、アメリカやヨーロッパなど世界各地で増加しているアジア系へのヘイトクライム。アジア系は「おとなしい」と見なされていることも、攻撃の対象になりやすい要因の一つと指摘されている。
バレエ界のダンサーたちも、「物言わぬ」傾向が強かったが、最近はSNSでダンス界や社会の問題について発信する人も出てきているという。
その中で、アジア系(アメリカ人)と太平洋諸島の人々(the Asian and Pacific Islander, the Asian American and Pacific Islander, AAPI)へのヘイトをやめるよう、当事者であるバレエダンサーたちが訴えるYouTube動画を、シンガポールを拠点とするダンスウェアの会社、Cloud & Victoryが、2021年3月18日に発表した。
この動画、運動について、次の「POINTE」の記事から紹介する。
動画は1分程度で、アジア系や太平洋諸島出身のバレエダンサーたちが登場して、一言ずつ英語で発していくものだ。発言の内容は下記のとおり。
So here's the tea ―(秘密*を教えてあげる――)
Asians are not a virus.(アジア系はウイルスじゃない)
I am not a virus.(私はウイルスじゃない)
Racism is a virus.(ウイルスは人種差別だ)
Hate is a virus.(ヘイトがウイルスなんだ)
Prejudice is a virus.(偏見もウイルスだ)
Discrimination is a virus.(差別だってウイルスだ)
And xenophobia is a virus.(外国人嫌悪もウイルスなんだよ)
We stand against racism(私たちは人種差別に立ち向かう)
We stand against hate(私たちはヘイトに立ち向かう)
We stand against violence(私たちは暴力に立ち向かう)
We stand against abuse(私たちは嫌がらせに立ち向かう)
Towards the Asian community.(アジア系コミュニティーに対する[そうした仕打ちに立ち向かう])
And that's the tea.(これが知られていなかった真実*だ)
That's the tea.(これが明かされてこなかった真実*なんだ)
(*は、原文のteaの意味を「ゴシップ、暴露されると困る秘密」と捉えた上での試訳。中国や日本の「茶」とも掛けているのかもしれないが、確証はない)
あるダンサーは、カンパニーに所属していた若い頃、振付家がアジア系のダンサーたちを「日本のお嬢さんたち」と呼んでいた、と述べている(ほかのダンサーたちはその振付家にレオタードの色で認識されていたという)。カンパニーは、ダンスだけでなく、そうした問題の改善も進めるべきだとも言う。
" ... We'll have a bigger voice, we won't be invisible ..."
「私たちはもっと声を上げ、見えない存在にはならない」
「Stop AAPI Hate」のサイトでは、英語、日本語、中国語、韓国語、ベトナム語、タガログ語などで、ヘイトクライムの被害報告ができる。