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勅使川原三郎、佐東利穂子「アップデイトダンスNo.74『妖精族の娘』」カラス・アパラタス
幻想小説家のロード・ダンセイニによる同名の短編がモチーフだというダンス作品。
妖精として生きていれば永遠に死ぬこともなく、その代わり喜びや悲しみを感じることもないが、人間になってみたいと望んだ「野生のもの」(妖精)が魂を得て――という物語。
物語もとても魅力的で、読んでみたくなった。
妖精を踊った佐東利穂子氏がこの世のものではないものに見える。衣装も役柄にふさわしく美しい。人間の身体と妖精の精神(?)を行き来する、体。
佐東氏による録音の朗読が、抑制された口調で、踊りとともに観客の身に入り込んでくる。
コロナ禍の緊急事態宣言の後、初めて見た生の舞台だったので、しかも小さな劇場だったので、目の前でダンサーが呼吸している、動いている、身体から汗が流れている、気配を感じる、それだけでありがたい。
もちろんダンス作品として素晴らしいのだが、生の踊りを見ること自体への感動と感謝があふれた。私のために今、踊ってくれている!と(これは勘違いだが勘違いではない)。
終演後のあいさつで、見る人がいるからこそダンスが成り立つ、とおっしゃってくださったのが、いつもおっしゃっていることなのだが、今回は特に胸に染みた。
踊っている人がいて、それを見る人がいて、ということが、どんなに素晴らしいことか。世界がどんなウイルスや病いに侵されても、消えてほしくない。
本作は、これまで見に行った「アップデイトダンス」の中で、(シェイクスピアの『ハムレット』を原作とする)『オフィーリア』と並んで特に好きな作品だったかもしれない。
作品情報
演出・照明・美術 勅使川原三郎
出演 佐東利穂子 勅使川原三郎
【日時】
8月21日(金)20:00
8月22日(土)20:00
8月23日(日)16:00
8月24日(月)20:00
8月25日(火)休演日
8月26日(水)20:00
8月27日(木)20:00
8月28日(金)20:00
8月29日(土)16:00
*受付開始は30分前、客席開場は10分前
【劇場】
カラス・アパラタス/B2ホール
【料金】
一般 予約 3,500円 当日4,000円
学生 2,500円 *予約・当日共に