24.ねばとこ

 日々のエセー『まいにちとことこ』
第24回は、「ねばとこ」納豆タレ醤油について。

 最近、一日に一パック、納豆を食べる。

 西日本では納豆はあまり人気がないらしい。

 でも、ぼくの故郷、熊本県は「西側」にしては納豆をよく食べる。総務省の統計局が発表した「品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング[2021(令和3)年度~2023(令和5)年度平均]」で、熊本市の納豆への支出金額が、西日本ではいちばんの第13位だった。
 というのも、熊本には納豆メーカー「マルキン食品」がある。

 ぼくは、この納豆で育った。

 ところが(!)、関西のスーパーではあまり見かけない。物理的距離があるから、当然と言えば当然なのだが、九州の納豆と関西の納豆は違う。粒の大きさや納豆そのものの味のことを言っているのではない。タレが違うのだ。

 ご存知のように、九州の醤油は、基本「甘い」。「あまくち」と書いてなくても、甘い。正月にお餅を食べるとき、醤油ですでに甘いのに、そこに砂糖を足して、砂糖醤油にして食べたりする。
 こっちに引っ越して来てから、どこにも九州の醤油が売ってなくて、とうとうAmazonでフンドーダイの「うまくち」醤油を買ってしまったくらい、ぼくは九州の醤油に馴致されていた(そしてどうやら「うまくち」は九州以外には存在しないらしい)。あの醤油じゃないと、他の地域の醤油でもマズくはないしフツーに美味しく食べれるんだけど、好みで、ぼくは物足りなく感じてしまうのだ。

 で、納豆。納豆もタレの味が微妙に違う。コンビニブランドや関西圏のスーパーで売っている納豆に付いてるタレでは、食べたときなんかもやもやする。この場合、タレが、納豆全体の味を左右すると言っても過言ではない。

 ぼくは探しまくった。「マルキン食品」の納豆はどこにあるのか、と。
 どうやら大阪府内の熊本県アンテナショップは潰れたらしい。

 もうダメか……。ダメなのか……。

 諦めかけていたそのとき、偶然、いつものスーパーからちょっと離れた、近所の別のスーパーに、「元気納豆」はあった。これぞ灯台下暗し。
 これほどまでに「元気納豆」が輝いて見えた瞬間は、後にも先にもない。

 きょうもぼくは、「マルキン食品」の「元気納豆  九州本仕込み(あまかたれ付)」を食べて、とっても元気だ。

 ……とは言ったものの、ごめんなさい。たまに、その、ちょっと遠いスーパーに行くのがダルくて別の納豆に「浮気」するときもあります。

 追伸。「昆布たれ付」をまだ見つけられてなくて、恋しすぎる。有力情報求む!

[2024.9.4]