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矢沢あい展感想part3
NANA。
矢沢あい先生。
お願いです。
もう一度続きを描いてください。
休止から13年。
何度も何度も数えきれないほど読み返した。
NANAがレンの死によって止まってしまった。
レンがいなければ。
レンに生きててほしい。って何度も思った。
作品の途中途中で、レンや皐(ハチの子)が出るたびに
ナナ以外のみんなが乗り越えて生きる未来は
見えてるのに、ナナは生きてる以外はなにも
わからないでいることが本当につらい。
今回の展覧会でどれだけの矢沢あいファンがいるのか
どれだけの人が待ってるのかっていうのを
すごく感じる時間だった。
…
NANAは読むたびに好きになる男性が変わる。
最初は、タクミみたいな人が良かった。
冷血漢に見える。でも、だから客観的に
全員にとっての最善を探すことができる人。
(ハチの言葉であったなぁ)
当時はハチはノブのことが好きだけど
子供のことがあって向き合ってくれたタクミを
選んだけどなんだかんだノブが好きなんだろうと
思ってた。
タクミも本当はレイラが1番だけど、自分の欲で汚したくない(番外編で描かれてた)からこそ
お互い2番目?に大切にできる相手とそばにいるっていう関係が私の理想だった。
次はレンがいいなと思った。
おれはナナが
おれの思い通りに
ならなくても
たとえ他の男と結ばれても
ずっと
変わらずに
大事に思える
くらい
優しい人間になりてぇよ…
これこそが愛だと思ったから。
誰と居てもどんな未来でもどうか幸せで居てください。
っていうのは本気で人を愛したことがなければ
決して発することのできない言葉だから。
2番目に大事に思う人と平穏に暮らす未来より
究極の愛は何にも勝るんだって感じたこともあった。
次にノブに惹かれた。
全てに責任を持てるとか、そんなカッコよくなくていい。
ただ、私のヒーローになってくれればいい。
大事なところでは引っ張ってくれないところがあっても
傷つくのが怖いのはどんな人間でもある。
優しくて、ヒーロー体質で、真っ直ぐで汚れてない
ピュアピュアなところがカッコよく見えた。
でも、優しさとはっきりしないことが紙一重に見えてから
やっぱりヤスみたいな大人がいいと思った。
決して自分の感情のために動かないひと。
いつも周りを見てくれていて、安心感がある人。
でも、美雨さんといるとき背負ってる荷物をおろして
彼女を頼れるかっこよさがとにかく眩しかった。
2番目でいいと思った恋をして
本気で大切にしたいとお互いが思った恋をして
優柔不断な優しさを愛しく感じる恋をして
ただ包み込んでくれるような優しさに恋をして
振り返ると好きな人とNANAの男性メンバーは
どこかしらに共通があった気がする。
…
ハチは浅野さんに流されて、章司を振り回して
流されてタクミとできて、また逃げてノブと恋して。
いつも男に振り回されて、男がいないとダメで。
主体性がない女の子なんだって感じてた。
でも、子供ができてからのハチは強くてかっこいい。
流されるままに、短期間の幸せを与えてもらう
甘い恋ばかりに溺れていたハチだったのに
子供ができてから、タクミと添い遂げると「決断」をして
変わっていったんだと思う。
自分の人生に起こること、起こったことに対して
決断をすることができるひとが大人だと思った。
何かを手にしたら、何かが手に入らないかもしれない。
取捨選択を自分の意志でできること。
ハチはどんどん大人になっていくなと思う。
反対にカッコいい象徴だと思っていたナナが
どれだけ弱い存在なのかを知った。
レンと離れることもできなくて、ヤスやノブの優しさに
甘えて愛情を常に求めているはずなのに
強がってみせるナナの脆さに気づいた。
レンとの別れが引き延ばされて、結婚に至っても
満たされないように感じてしまうのは
ナナにとっての幸せのカタチが見えなかったからなのかな。
とか、いろんなことを思ってしまう。
…
年齢を重ねるごとにキャラクターの見え方も
好きになるキャラクターもどんどん変わっていく。
幸子のことはすごく嫌いだったけど
欲しいものに貪欲でいること、自分が幸せになりたい
っていうのは誰しもが抱える思いってことを知ってから
嫌いじゃないなって思うようにもなれた。
矢沢あいの漫画は、価値観の多様性というか
人それぞれなんだよってこととか
変わっていく自分の心とか感覚に向き合わせてくれる
唯一無二の作品だと思う。
青春時代に愛した漫画を今もなお変わらずに
大好きだと言えるのはこの上なく幸せなことです。