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葉っぱで覚える林業作業
森と木が大好きな北海道の佐野です。
先日、東京パラリンピックを私らしく応援するために、パラリンピックの23の競技のピクトグラムを23種類の木の葉っぱで作ったことを投稿しました。
そして、24日に開幕しましたね。アスリートの皆さん、頑張ってください。
林業作業をリーフアートで
実は、私は、北海道で森林・林業関係の仕事をしています。パラリンピックのピクトグラムで、すっかりリーフアートの楽しさに魅了されたので、今回は、植え付けから伐採までの林業作業をリーフアートで表現することにしました。もちろん、それぞれ違う樹種の葉っぱを使っています。
それでは、リーフアートに使った葉っぱの紹介にあわせて、林業作業の説明をしますね。
植え付け:シウリザクラ
まずは、植え付けです。
北海道の主要な造林樹種は、トドマツ、カラマツ、アカエゾマツですね。だいたい、1haに2000本~3000本位植えます。
葉っぱはシウリザクラ。桜の季節が終わった5月下旬、ブラシ状の白い花を咲かせます。ソメイヨシノなどのいわゆる桜の葉っぱに比べると細長いですね。
下刈り:カツラ
北海道は、植えてからしばらくは笹との闘いです。苗木の高さは30センチほど、一方、笹は2メートル近くの高さになるので、植えた苗木が笹の高さを超えるまでは、毎年下刈りをします。寒い北海道では、10年間も下刈りをする必要がある地域もあります。
葉っぱはカツラ。何度かnoteの記事で紹介していますが、ハートの形の葉っぱが特徴ですね。アイヌの人たちはカツラで丸木舟を作っていました。
除伐:レッドオーク(アカガシワ)
苗木が笹の高さを超えても安心できません。植えた木よりも成長の早いタラノキやシラカンバなどの広葉樹が苗木の高さを超えて、枝を広げ、成長を妨げます。植えてから15年から20年の間に除伐します。
葉っぱはレッドオーク。北米原産の木です。北海道には、外国産の樹種が、公園や街路樹にたくさん植えてあります。葉っぱは日本のカシワよりも葉っぱの縁が直線的ですね。
つる伐り:カシワ
北海道の森には、クズやフジ、ツタウルシなどのつる植物がたくさん生えていて、木に巻きつきます。つるに巻きつかれると、形が変形したり、つるの葉っぱが植えた木の樹冠を覆って、成長を妨げます。だいたい、除伐と同じ時期につる切りを行います。
葉っぱはカシワ。北海道の人に「カシワの葉っぱが落ちたら金を返す」という言葉があることを教わりました。金を返すつもりはないという意味ですね。
枝打ち:エゾヒョウタンボク
在来工法の伝統的な木造家屋の場合、節が表面に出てこない柱を好みます。節は、枝の痕なので、柱の太さになる前に枝打ちをして、節のない木に育てます。
葉っぱはエゾヒョウタンボク。実は、初めて発見した木でした。職場からの帰り道、リーフアートに適した葉っぱはないかと探しているときに見つけた木です。まさに、棚からぼたもち、瓢箪から駒ですね。
間伐:ミズナラ
植えてから30年以上たつと、植えた木の幹が太くなり、枝が伸び、樹冠が広がって、木と木との間隔が狭くなり、それ以上成長することが難しくなります。林の中も真っ暗になりますね。健全な人工林に保つためには、ある程度の間引きが必要になります。だいたい、最後の主伐までに、2~3回ほど間伐をします。
葉っぱはミズナラ。北海道では、たくさん生えている木のひとつですね。まんまるドングリを作ります。実は、昨年、ナラ枯れ病をもたらすカシナガキクイムシが北海道に上陸したことが確認されました。ミズナラに被害が発生しないか心配ですね。
主伐:ハリギリ
植えてから50年から60年くらい経つと、木は太く高くなっています。最近では、さらに成長させて、80年を超える人工林も増えましたが、充分な大きさまで成長したら、最後の伐採(主伐)です。主な用途は建築材ですが、木の家は、第2の森ですね。50年以上かけて成長した木を使った家は、50年以上住み続けたいですね。
葉っぱはハリギリ。北海道ではセンノキという呼び名が一般的です。林業界では、年輪幅が広くて硬いセンノキをオニセン、年輪幅が狭くて柔らかいセンノキをヌカセンと呼び、ヌカセンの方が喜ばれます。年輪幅が狭い方が柔らかいなんて、ちょっと不思議でしょう。
林業を学びながら葉っぱも学ぶ
それぞれ違う樹種で林業作業のリーフアートを作ったので、林業作業を学びながら、葉っぱも学べる、まさに、一石二鳥の楽しい教材になりましたね。
また、リーフアートでいろんなものを作っていきたいと思います。
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