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空白の履歴書、嘘の職歴
私は長い間、働いていなかった。
ニートとして過ごし、社会との関わりを避けてきた。
でも、このままではいけない——そう思い、勇気を振り絞って面接に挑んだ。
「履歴書に空白があるけど、何をしていたの?」
面接官にそう聞かれたとき、頭が真っ白になった。
事前に考えていた答えも吹き飛び、どう返せばいいのかわからなくなった。
「働いていませんでした」
正直に答えると、面接官は少し驚いた顔をしたあと、笑ってこう言った。
「仕事なんて探せばあるでしょ?」
まるで「なんで働いてこなかったの?」と責めるような言い方だった。
何も面白いことなんて言っていないのに、どうして笑われなければならないのか?
別の会社では、見下したような態度で 「あー、そういう人ね」 と言われたこともあった。
そのまま適当にあしらわれ、「今回はご縁がなかったということで」 と断られた。
——社会に出ようとするだけで、こんな仕打ちを受けるのか。
ただ前を向いて生きたいだけなのに、どうしてこんなにも邪魔をされるような気がするんだろう?
せっかく勇気を出して踏み出した一歩を、こんなふうに踏みにじられるなんて。
(今思えば、自分の知識不足や態度にも問題があったのかもしれません。でも、最近はサポートを受けられる場所も増えてきて、理解してくれる人も多くなった気がします。)
就活マニュアルには「面接では正直に話しましょう」と書かれている。
なのに、正直に話した結果がこれだった。
だから、私は履歴書に嘘の職歴を書いた。
ネットで適当に調べた会社名を載せ、架空の職歴を作った。
最初はうまく話せなかったけど、何度も繰り返すうちに、まるで本当に働いていたかのように話せるようになった。
最初は罪悪感があった。
でも、回数を重ねるうちに、何も感じなくなっていった。
そのうち、嘘をついている自覚すら薄れていった。
こうして、ようやく仕事が決まりそうになった。
……でも、やっぱり怖くなって辞退してしまったこともあった。
「本当に大丈夫なのか?」
「この嘘、ばれないだろうか?」
「なんか違う……」
不安とプレッシャーに耐えられなくなった。
嘘をついてまで社会に出ようとしたのに、結局、自分が嫌になってしまった。
それでも、生きていくしかない。
でも、どうやってもうまくいかなかった。
嘘をつけば、その嘘を守ることに疲れ、正直に話せば、笑われる。
それでも、生きていくしかない。
何が正解かなんてわからないけど、それでもその当時は歩き続けるしかなかった。