【アナンシと五】自分のやり方を捨てる 『審判』『月』タロット大アルカナを解説
「いち、に、さん、し、私のいるところ」
『アナンシと五』というジャマイカの民話がある。
あるところに
「五」という自分の名前が大嫌いな魔女がいた。
そこで魔女は「五という言葉を口にしたものは死ぬ」
という呪文を唱えました。
それを聞いていたアナンシは、あることを思いつく。
市場の帰り道となる場所に
サツマイモの山を5つ並べて誰かが通るのを待ちかまえた。
そこへアヒルが通りかかる。
「アヒルさん、ここにあるサツマイモの山がいくつあるか数えて欲しい」
気のいいアヒルは、サツマイモの数を数えてあげました。
「いち、に、さん、し、ご」
するとアヒルは、パタンと倒れて死んでしまった。
アナンシはアヒルをペロリと食べてしまいました。
次に、うさぎがやってきた。
アナンシはまた数を数えさせて、倒れたうさぎを食べてしまった。
今度はハトが通りかかった。
アナンシはハトにも数を数えるようにお願いする。
「いち、に、さん、し、私のいるところ」
ところが、ハトは「5」と言ってくれない。
「ちがう、ちがう、数え方が間違っているぞ」
アナンシがハトに言いました。
「いち、に、さん、し、私が座っているところ」
ハトは正確にサツマイモの山を数えてから
言い直しました。
「ちがう!ちがう!ちがう!!」
アナンシは顔を真っ赤にして怒ります。
「こうやって数えるんだ! いち、に、さん、し、ごっ!!」
するとアナンシはパタンと倒れて死んでしまいました。
このお話を読んだとき、
これって『審判』と『月』っぽいなあと思った。
アナンシは『審判』を経験して
ハトはアナンシにとっての『月』となっていた。
アナンシは、【別の数え方がある】ということを認めない。
自分の「観念」にとらわれて
何としてもハトに「5」と言わせようとする。
アナンシから見ると
ハトは「得体の知れないもの」として映る。
「わからない」という事柄は
恐れの感情を生む。
「思い通りにならない」から感情的になっていく。
もしもアナンシが
「どうしたらハトは5と言ってくれるか」という視点を持てたなら
今回も「うまくいっていた」かも知れない。
『審判』の世界
『審判』のカードは「死者の復活」が描かれている。
天使のラッパの音色で、棺から死者が蘇る。
生命の木では、【現実世界と思考を結ぶ】場所に位置している。
ラッパの音色は、「新しい気づき」をもたらしてくれる。
今までと違う方法を実践するきっかけに出会っても
アナンシは「自分のやり方」を変えようとしなかった。
『月』の世界
『月』のカードは、分からないものを象徴している。
大きな月の下、飼いならされた犬も野生のオオカミも
月に向かって吠えている。
水の中から「得体のしれないもの」が出てきている。
くねくねと曲がった道の先は、どこに続いているのか「わからない」。
生命の木では【現実世界と感情を結ぶ】場所に位置している。
不安定になったり
怖いと感じると「感情」が揺さぶられる。
アナンシのとってのハトは
とても怖い存在となってしまった。
『審判』のカードは
習慣的な自動モードの自分に「考える」視点を入れてくれる。
『月』のカードは
不安を「受け入れていく」ことを教えてくれる。
日常生活において
『月』はいつも自分のそばにあり
『審判』のラッパは鳴り響いている。
時々でも
それに気づきながら、暮らしていけたらいいと思う。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今日もよい日になるといいですね♬