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闇の王国編、始まり。


光の王宮に天使の光騎士団と青龍の勇者団が集まる。 生きた鳥が一羽、飛んでいる。 この鳥こそ、全てを握っている。 預言者の鳥だ。 鳥に化けた預言者は全ての未来を知っている。 とてつもなく、美しい綺麗な鳥だ。 綺麗な水色で出来ており、青と白のグラデーションがかかった 尾をしている。くちばしは黄色。 幸運の青い鳥のようだ。 「どうしたものか。ウィルが闇の王国に捕まるとな。」 神の王、ゼウスは話す。 「ウィルだけが、この預言者の鳥の言葉が分かるというのに。」 ゼウスは闇の王国への道を知りたくなった。 どうすればいい。誰も知らない訳だ。誰も知らない。 闇の王国とは?どこにあって、どうやって行けばよいのだ。 ウィル。お願いだから生きて待っててくれ。 「ゼウス様。悩みがあるようで。何でも話は聞きますぞ」キーマスターは言った。 「闇の王国へ行きたいのだ。」 「正気ですか?あそこは危険地帯です。」 「何、キーマスターよ。場所を知ってるのか?」 「実は、はい。」 「教えてくれ。頼む。」 「空間魔法で行けますよ。ただし、X番で危険度MAXです。」 「ほっ。良かった。良かった。」 「安心するのは、早いですよ!!」 「X番を開けるには、特殊な鍵が必要です。」 「キーマスターよ。X番の鍵は持ってないのか?」 「はい。確か、水姫のシャーロットが持ってます。ゼウス様。」 「シャーロットを呼べ。しかし、シャーロットは鍵を貸してくれるじゃろうか?」 「それは水姫様次第です。」 10分後、シャーロットがキーマスターに呼ばれてやってくる。 シャーロットは、悲しい表情をしている。ウィルが闇の王国に 捕まったからだ。 「もう、ダメなんです。私の夫が・・・!闇の王国に!!」 シャーロットは正気では無かった。 パニック寸前の精神状態になっている。 「シャーロット。パニックになるのは分かる。闇の王国へ入る X番の鍵は持っているかの?」ゼウスはシャーロットに訊く。 「X番の鍵?ひっく。あの黒色の鍵の事ですか?」シャーロットは泣いている。 「シャーロット、落ち着け。落ち着くんだ。黒色の鍵。まさしく それだ。持っているのか?」 「ええ。ウィル様が持っていたのですが、不死鳥の魔海賊を倒しに 行く時に渡してくれたのです。」 「ウィルは賢い。預言者の鳥の話を聞いたのであろうぞ。」 「ということは??」 「そうだ。」 「闇の王国に捕まると、予め分かっていたということだ。」 「え?そんな。」 「ウィルは恐らく、闇の王国で我らが来るのを待っているはずだ。でなくては、黒い鍵を貴女に渡そうとはせん。」 キーマスターが水姫の側に来る。 「どうか。水姫様、鍵をお渡し下さい。」 水姫は考えた。もし、闇の王国へ皆が行けば更に犠牲者は出る。 ウィルの命も大事だけど・・・・、 生きて帰ってこれる保証はどこにもない。 ここで、闇の王国に行かなければ 夫のウィルを助けることは出来ない。 本当にどうすれば。 どうすれば。 「空姫レイナと、少し話をして決めようと思います。レイナは私の 親友。彼女なら、答えを見出せるはず。」 自分の頭に閉じこもっても何もないわ。レイナと話そう。 「分かった。キーマスター。レイナを呼べ。」 キーマスターが急ぎ足で、レイナを呼んでくる。 すぐにレイナはシャーロットの元へ駆けつけた。 レイナはゼウスとシャーロットの深刻な表情を見て悟った。 この国の一大事だ。間違いない。 「どうしましたか。水姫様、ゼウス様。」 「レイナも知っておろうが、ウィルが闇の王国へ捕まったのだ。」 「左様で。」 「闇の王国へ行くべきか?」 「少し、シャーロット様と話させて下さい。」 「分かった。」 レイナとシャーロットは話す。 「シャーロット。ウィル様がいなくて不安でしょう。分かる。 大切な人がいないって苦しいよね。ウィルの存在は私たちにとって 遙かに大きい存在。彼がいなくては、この国に未来もないのも 同然よ。」 「レイナ!レイナ!ありがとう。」水姫は泣きながら、レイナを抱きしめた。 「闇の王国へ行こう!大丈夫。大丈夫。天使の光騎士団は最強だから。絶対、ウィルを助けれる。」 「でもウィルが、私の夫が今も生きてるって保証どこにあるの?」 レイナはシャーロットの目を見た。まばゆい綺麗な目がシャーロットの目をのぞき込んだ。 「必ず生きてる。生きてるって信じるのよ。信じるだけで救われ る。デクスター・ダークが言っていた。命を取ったりはしないと。」 「そんな悪者の言うことなんて私信じないわ!」 水姫は泣いた。大泣きだった。 レイナは慰めるように闇魔の剣についていた光姫の鞘を持ってきた。 リルが馬車に積んで持ってきた闇魔の剣と光姫の鞘だ。 「こ・これは?」水姫は言う。 「光姫の鞘。」 「え?オーロラ姫の鞘よね。これ。」 「交換結婚したのは、知っているわ。私も。」 *交換結婚 アーサー王子(水の国の王子)とオーロラ姫(光の国の王妃)が結婚。ウィル(光の国の王子)とシャーロット(水の国の王妃)が結婚。交換結婚をする事で、水の王国と光の王国の同盟を 確固たる物にした。 「言い伝えで、この光姫の鞘は光の剣の主が亡くなれば消滅するって言われてるの。だから、まだウィルは生きてる。」 「そっか!レイナ。まだウィルは生きてるのね。」 「そうよ。だから、チャンスはある。ウィルを助けたいなら、 助けに行くべきよ。そうよ!!!」 「でも、犠牲者が出るかもしれないのよ。闇の王国なんて危険地帯」 水姫は泣きながら言う。 「貴女はウィルを助けたくないの?シャーロット。」 「助けたいに決まってるじゃない。」 「それが本音。じゃあ行けばいいの。仲間と一緒にね。」 レイナはシャーロットの頭を優しくなでた。 二人の友情は本物だった。 キーマスターとゼウスは二人を見守っていた。水姫は 涙をぬぐった。 「黒い鍵、渡さないとね。キーマスターに。王室にあるので 少ししたら、持ってきます。」水姫は言った。 水姫は王室に向かって歩き、ドアの向こうへ行く。 ドアを開けると、黒猫が居て驚いた。 黒猫???なぜここに?ナターシャが使役している黒猫? 「ニャー。ニャー!!ニャー!!!!」 黒猫はお腹を空かせていた。 王室にキーマスターが来た。 「水姫さま。申し訳ない。実はその黒猫、私の空間魔法のドアを 開けた際、偶然入ってきたのです。」 「え????」 「ナターシャと離ればなれになったので、その黒猫は もう安全のようです。どこで飼えばよいか分からなくて、 気がついたら光の王宮に走り回っていて、王室に逃げてしまったみたいです。とてつもなく、足が速いので困っています。」 「そっか。お腹を空かせているみたいなので、ご飯あげなくちゃ。」 「水姫様はいつもお優しいです。」 水姫はすぐに、王宮の食堂から魚を持ってきて 黒猫にあげた。 黒猫は美味しそうに魚を食べている。 水姫はキーマスターに王室にあった黒い鍵を渡した。 キーマスターは水姫様にお礼を言う。 「生きるには、食べ物が必要か。」キーマスターは黒猫は見て 言った。 「私たちも、闇の王国に行く前に食事をしないとね。それとキーマスター、この黒い鍵で間違いない?」水姫は言った。 「ええ、間違いありません。X番の鍵です。闇の王国への入り口に 唯一行けるドアを開ける鍵です。」 「ウィルを助けたいの。」 「分かっていますとも。」

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