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たまたま読んだ本038 経済評論家の父から息子への手紙 : お金と人生と幸せ 全世界株式のインデックスファンド 格差は「資本のリスク」と「リーダーシップ]から生じる

経済評論家の父から息子への手紙

経済評論家の父が、息子に経済格差の時代を生き抜く方法を伝授する。
一言でいえば、お金に困らないで生きていく方法だ。

まえがきで、著者は、お金の稼ぎ方、増やし方で、「不利な側」には回ってほしくない。世間に流されてぼんやりと働いていると、一方的に「利益を提供する側」に回って損をする。資本主義経済はそういう仕組みになっている。また、自称お金のプロのアドバイスに従うと、すっかり「カモ!」にされるようにもできている。と、世の中の仕組みを諭すように語る。

学生は、いったん企業に就職してもいいが、早く別の選択肢を持つべきだし、当面の職と収人の安定に満足して、ぼんやり過ごしていると人生のチャンスをどんどん失っていく。と、警告する。

社会人は、(1)常に適度な「リスクを取ること」、(2)他人と異なることを恐れずにむしろそのために「工夫をすること」の2点のマインドセットが必要だと説く。

資本主義経済の世界は、リスクをとってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸い上げるようにできている。
故に、株式ないし株式に連動する形で報酬を得て稼ぐことを考えることが重要で、その方法として、(1)自分で起業する。(2)早い段階で起業に参加する。(3)報酬の大きな部分を自社株ないし自社株のストックオプションで支払ってくれる会社で働く(外資系企業に多い)。(4)起業の初期段階で出資させてもらう。の4つを挙げる。

お金の運用については、
(1)生活費の 3~6カ月分を銀行の普通預金に取り分ける。残りを「運用資金」とする。(2)運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」に投資する。(3)運用資金に回せるお金が増えたら同じものに追加投資する。
お金が必要な事態が生したら、必要なだけ部分解約してお金を使う。
と説明し、金融機関はネット証券大手が良く、「長期(投資)」、「分散(投資)」、「低コスト(= 安い手数料)」の 3 つを守ることでうまくいく。
大事なのは、経済の状況や相場の情報を見て「売り・買い」をしないことだと強調する。
なかでも、集中投資よりも分散投資が断然よく、手数料は「確実なマイナスのリターン」である事を認識すること。そしてアクテイプファンドはほぼすへてがダメだと言い切る。

また、自分自身が「他人と取り替え可能な労働者」にならないような工夫が必要で、労働者に限らず、エ夫のない人は損をする。責任論以前の経済の現実で、他人と同じであることを恐れよ、無難を疑えと訴える。

労働者タイプには、①他人と取り替え可能な同じような人材になる、②会社が用意した働き方だけで満足する、③雇用不安や賃金減少のリスクを極端に嫌う、などの特色がある。
その中で一部の労働者は、「経営ノウハウ」、「複雑な技術」、「財務ノウハウ」など、資本家が理解できない部分を作り、自らの立場を強くして、「株式性のリターン」の形で、本来なら資本家に帰属したかもしれない利益を得ていく。高額な報酬を取る米国企業の経営者などがその典型だと、積極的な経営参加を呼び掛ける。

お金の借り貸しは、友人・知人が相手だと、貸しても借りても、ストレスが大きい。「基本的には、やめておけ」。債務の保証人は「絶対にやめておけ」。生命保険と投資商品は、友人が紹介するようなものに一切関わらないと決めておくことが肝心だ。と、人間関係とお金の問題を完全に切り離すよう忠告する。

お金の使い方は、特に自分への投資を渋ると将来の自分が貧相になってしまう。自己投資の中身は、①知識、②スキル、③ 経験、④人間関係、⑤時間だ。お金が足りないと思ったら、節約よりも先に「もっと稼ぐ方法はないか」と考えるようであってほしい。その方が人生は圧倒的に面白くなるはずだという。

就職先については、最初の仕事は「興味か持てて」、「倫理観に反しない」もので、就職して2年後くらいまでには、仕事の基礎を身につけた「転職できる人材」になっておきたい。といい、自分が投資するものは、時間・努力・お金の 3 つで、投資で得ようとするのは、①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時問である。一つの分野への自己投資の目処は「2年」と説明する。

人付き合いについても「頭のいい奴」、「面白い奴」、「本当にいい奴」と付き合い、人間関係の基本は「時間厳守」と「爽やかな挨拶」を実行し、勉強会は幹事を引き受けること。
会食では、個々の参加者がどのくらい飲んたり食べたりしていて、どういう気分と状態にあるかを常に把握することを習慣としよう。と、細かいことまで言及する。

転職は「常に」意識し、転職の「コスト」も意識する。
転職していいは、①仕事を覚えるための転職、②仕事の能力を活かすための転職、③ライフスタイルを変えるための転職の3つを挙げ、小さくても副業のチャンスは逃がすなと促す。

そして、モテない人は幸せそうに見えないといい、モテる秘訣として、心からの興味を示しながら、相手の話を熱心に聞くことだ。ひたすら聞くのだ。これが肝心だし、これだけでいいのかもしれないと吐露する。

書いていることは、頭の中では理解できる。この通り実行するのは一般人なら少々無理があるかも知れない。人間関係も気持ちが通じ合うからで、利益になることを考えて付き合うのは何か打算的な感じもする。でもいい人間と付き合うことは重要だ。最近、株価が乱高下しているなか、全世界型のインデックスファンドは複利の分散投資、長期投資が基本で、20年もすると、およそ2倍近くになっているといわれている。もちろん、その時の株価に影響されるのは当然だが。

著者は、闘病中に書き進め、2024年1月に永眠された。

経済評論家の父から息子への手紙: お金と人生と幸せについて

出版社 : ‎ Gakken
発売日 : ‎ 2024/2/27
ページ : ‎ 192ページ 
定 価 : 1600円+税

著者プロフィール
山崎 元(やまざき はじめ)
1958年、北海道生まれ。東京大学経済学部卒業。現在、楽天証券経済研究所客員研究員。株式会社マイベンチマーク代表取締役。東京大学を卒業後、三菱商 事に入社。野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一証券、明治生命、UFJ総研など、計12回の転職を経て現職に至る。現在 は、コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会、各種委員会委員等を務める。
2024年1月永眠。

トップ写真:ペンタス
      開花期:5月~10月
      花言葉:「希望がかなう」「願い事」「博愛」「誠実」など。


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