見出し画像

BOOTHでVR演奏の無料提供を開始したわけ

 このたびVRアンサンブル研究会で、まぁちゃんさんとアンサンブル演奏している録音をBOOTHで無料で提供を始めました。

 私たちの活動の様子は下記を参照いただければいいかと思います。

Medraさんからの提案

 先日のことNeosVRでMedraさんと話していました。MedraさんはCreator Jamというイベントを毎週しています。24時間で日米欧のメンバーがさまざまな創造的活動をします。そこではアセットと呼ばれる素材がたくさん準備されています。素材には3Dモデルや音源など多種多様なものが揃っています。クリエーター達はこれらも使いながら、創作活動をします。

「litalitaはピアノを弾くんだよね?」
「まぁちゃんさんと1週間に1度か2度、アンサンブルを楽しんでますよ」
「今度、その演奏を聴いてみたいな」
「ええと、それだったら、録音があるから、ちょっと待ってください」
NeosVRではmp3のファイルを、NeosVRのウィンドウにドラッグ・アンド・ドロップすると、VR世界に持ち込んで再生させることができます。その場でMedraさんに聴かせました。
「うわ!これすごくいいですね。……これ、素材として提供いただけません?」
「え?」

 ということで、これまで演奏してきた録音を提供することを考え始めました。VRではさまざまな「つよつよ勢」がいて、活躍しています。アバターであったり、ワールド、ツールなど、素晴らしい作品が次々と製作され、無償で提供されたり、販売されています。
 ですが、私もまぁちゃんさんも、そういう意味では全然スキルが足りなくて、またそういうスキルを上げるための勉強などせず、時間のほとんどを演奏活動のために使っています。まぁちゃんさんなんかは「能力は演奏に極ふりしてるので他は何も出来ません 御理解ください」とtwitterのヘッダー部分に書いているくらいです。本当にこれまでの人生の時間の大半を演奏に費やしているのが分かります。
 だとすると、私たちの唯一の作品である演奏録音を素材として提供するのはアリです。人気からいうと微妙なクラシックだし、人が演奏しているので間違えるし、ノイズも乗っているのですが、素材提供でほんのちょっとだけ人の役に立つかもしれません。

まぁちゃんさんに相談

 そうはいっても、まぁちゃんさんが断れば、話は無くなっちゃうんですけど。恐る恐るまぁちゃんさんにMedraさんからの話を切り出しました。
「別件です。
NeosVRで、うちらの音楽を使わせてもらえないかという申し出があります。ワールドを作る時に、使いたいそうな。」
「良ければ:thumbsup:」
「げ、はやい!
一番いいのは、自由に使っていいですよ、なんですが、そこまでも許してもらえますか?」
「良いのではないでしょうか:thumbsup:」
「げ、はやい!
そしたら、なんか知らないけどどっかワールドに行ったら、いい感じの音楽が流れているなぁ、はてどっかで聴いたような、みたいなことになります。」
「よきよき:thumbsup:」
「大変ありがとうございます。分かりました。Medraさんも喜ぶと思います。」

ということで、あっけなく決まりました。まぁちゃんさんの決断の早さ、あるいはのりのよさに感謝です。

NeosVRでの提供の仕方

 Creator Jamでは専用のフォルダがあり、そこにさまざまなアセットを入れています。そこに今回私たちの演奏録音を入れることになりました。Creator JamではCC 0かCC BYのライセンスで提供される素材を載せることになっています。MedraさんからはCC BYのライセンスにしましょうという提案でした。これはクリエイティブコモンズの一つの形態で、この素材を使うときには、「by Maachan & litalita」のようなクレジットを入れる必要があります。そしたら自由に使うことができます。

BOOTHでの提供を考える

 正直に言うと、NeosVRの人口はとても少ない。VRChatの数万人とかいうレベルと桁違いに小さいです。今でもNeosVRにログインすると同時に使っている人口は全世界で200人とかです。日本じゃなくて、全世界で200人です。20人くらい集まる集会をしていると、「おお、ここで1/10は集めたねぇ」とか冷ややかに言っています。私はNeosVRの先進性や新機能の実現速度がとても好きです。ですからそこにちょっとでも貢献できたのはとても嬉しいことでした。

 しかしインパクトがあまりに小さい。NeosVRで公開したのだから、もっと広く提供してもいい感じがする。みんなの目に付くところは? そこでBOOTHでの提供を検討しました。一番考えたのは著作権の問題でした。これについてtatmosさんが注意するようにと教えてくれました。その後いろいろと調べることになりました。

 たとえば「情熱大陸」を提供しようとすると、まちがいなく問題でしょう。演奏をするだけでも演奏者は作曲者に許可を取る必要があります。ということで現代の音楽はだめです。では「ダニー・ボーイ」はどうか? もう作曲家はいないし十分大丈夫な感じですが、今度は編曲者がいます。この編曲者に許可を取る必要があります。

 さて今回提供している楽曲の演奏録音ですが、次のような特徴があるでしょう。

強み

クラシックのフリー素材である。これってあるような無いような感じです。一番多いのは自作の曲の打ち込みです。クラシックも打ち込みでオーケストラまで行い提供している例があります。そういう意味でクラシック音楽の素材は珍しいのかもしれません。
生演奏です。SYNCROOMで繋いで二人で実際に演奏しています。ですから、その場の雰囲気や気分でかなり演奏が異なり、時には思いがけない演奏になったりします。その様子がまた分かるものです。生演奏には打ち込みには無い独特のリズム感がでます。

弱点

間違えがある。まぁちゃんさんはともかく私は素人ですから、ちょっとした間違いは必ずあります。打ち込みであればそういうミスは無いわけです。もっともまぁちゃんさんが自分の演奏に満足しているかというと、「これまでの演奏に満足したことなんか一度もない」と言っています。ちょっとすごいことを言い出します。「無理ゲーだと思っている」とも。つまり演奏するともっと上手にできるはずだと課題が見つかり、練習しているうちにそれを克服すると次の課題が見つかるという、そういうことです。

ノイズがある。YAMAHAのSYNCROOMで二人を繋いで演奏を録音しているので、ネットワークの状況によりノイズが入ります。数分の演奏でも私たちの環境ではほんのちょっとノイズが入ることがあります。

まとめ

 BOOTHで無料で演奏録音のデータを提供しています。きっかけはMedraさんからの提案でした。VR世界には本当に楽しませてもらっているし、もしVRが無かったらまぁちゃんさんとの出会いもなくアンサンブルをすることもなかったでしょうから、ちょっとでも素材貢献でVR世界に役に立てればと思っています。

 でも、生演奏のクラシック音楽が合うようなワールドってどんななんでしょうね。物好きな方がおられて、私たちの録音を使ってくださるのであれば、また楽しみが増えます。ありがとうございました。

                         2021年6月17日
                          litalita

謝辞:写真はアルタ(@AltaDito)さんが2021年5月2日の #あ茶会 で撮影したものです。感謝申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?