きなこご飯

「おれは塩昆布があれば何杯でもいける」「ご飯いっぱい食べたいなら梅干しの酸っぱさが必要!」「やっぱり卵かけご飯かなー。シンプルに醤油だけで。」

大学生時代、寮の仲間と旨くて安くいご飯のお供を探す会話で盛り上がった。王道の卵かけご飯に軍配が上がりかけたとき、「きなこご飯」とニンマリした顔で訴えた男がいた。

頭がクエスチョンマークで溢れかえったことを覚えている。きなこと白ごはんの味を口の中でシミュレーションしてみたけど、甘ったるい嫌な感じが口に残った。「きなこをかけるのは餅やろー。」と言うと、即座に「いやいや、餅は米やん。」と返された。

そういえばそうだ、何で今まで考えもしなかったんだろうと軽く衝撃が走った。だってきなこ餅を旨いと思っているんだから、同類のごはんにかけても旨いだろうなと思いつくのが当然のように思えた。

自分が知らないことも気づいていないこともいっぱいあるなーと呑気に感じた日だった。

400字エッセイ書いています。

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