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金曜日の夜

仕事が終わってスーパーに向かう。金曜日だからといって特別な夕食にするつもりはないのだが、スケベ心がいつもより多くの食料を買い物カゴに運びいれる。

変わり映えしない夕食を満喫した後、読みかけの本と一緒に湯船に浸かる。運動不足を少しでも解消したく、手で持つ本にしみこむまで汗をたっぷり流す。本の内容が頭に入ってこなくなるくらいにボーッとしてきたらお風呂を出るサインだ。

外から入る風を濡れた身体が受け止める。気持ちいい。つい先日まで、外に出るのが嫌になるほど風がモワッとしていたのが嘘のようだ。これほど風が心地いいと屋内にいるのが惜しい。朝飯用に買った超熟のイングリッシュマフィンを一切れ握って外に出た。

風に押されながら近くの公園まで歩く。公園で1人、この1週間で嬉しかったこと、悲しかったことを振り返る。虫の鳴き声と、風が木々を揺らす音が僕を囲い込んで逃さない。僕も逃げたくない。


400字エッセイ書いています。

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