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旅の最終日

朝目覚めると見慣れない天井が視界を占める。「ここはどこや?」という疑問が浮かぶ前に、旅に来ているんだと気づく。同時に、今日が旅の最終日であることにも気づいて寂しくなる。

また近いうちに会える人との旅もあれば、次に会えるのがいつなのかわからない人との旅もある。人生について語り合う夜もあれば、独りで考えこむ夜もある。すべてが予定通りにいった旅もあるし、突然の雨で予定変更を余儀なくされたこともある。

旅では綺麗な景色を楽しみ、贅沢なごはんを食べ、いつもよりお酒を飲みすぎる。飲みすぎて身体がしんどくなっても、旅の行程を考えるだけで元気になってくる。

少しずつ、確実に、旅が終わりへと近づいていることを感じる。別れを匂わせる会話が増える。効率よく荷物をまとめ、帰りの時間を調べる自分がいる。

旅が終わる寂しさには慣れない。この寂しさがきらいだ。でも、この寂しさが次の旅を引き起こす源泉なんだと思えば安いもんだ。


400字エッセイ書いています。



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