見出し画像

風と音、コーヒーと本

カーテンが揺れていた。外に干した洗濯物も揺れていた。洗濯物が飛んでいく心配がないくらいのちょうど良い加減の風量であることがわかる。光が差しこんでいた。初夏の眩い日差しが、昼寝用に敷いていたベージュ色の布団と薄緑色の畳を照らしていた。

読んでいた本を閉じ、読書で疲れた目をもみほぐした。ソファーの肘掛けにバランスよく鎮座するコップを手に取り、冷たくなったコーヒーを一口、そしてもう一口飲んだ。

ソファーから立ち上がり伸びをした。爪先立ちで足首を伸ばすと関節がゴギゴギと大きな音を立てて、静かな部屋に鳴り響いた。かすかな音のなごりのようなものが、全身に心地よく染み入るのを感じた。

もう一冊の本を手に取った。幻想的な小説と現実的なエッセイ本 ーあくまで個人的な感想ではあるけどー を交互に読んでマルチの世界を行き来する浮遊感を楽しんでいた。

このような日を過ごせていたことを、いつか思い出したいなと思った。


400字エッセイ書いています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?