Mr. 羊(シープ)

本を読む人がなぜ減ったのだろう? みんな毎日文字を見てるのに、なぜ本を読まなくなるのだ…

Mr. 羊(シープ)

本を読む人がなぜ減ったのだろう? みんな毎日文字を見てるのに、なぜ本を読まなくなるのだろう。本が廃れる世の中なんて嫌だ。だから僕は書いて誰かの読書を助けたい。 映画の感想も↓ #Filmarks https://filmarks.com/users/gawgawTT

マガジン

最近の記事

「百年の孤独」を呼んだら読書筋力がムキムキになった│読書エッセイ

長い夏が続く中、一冊の本を夢中で読んだ。 暑中の厳しさすら忘れ、何かに取り憑かれていたように夢中でページを捲った結果、ガブリエル・ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を読了した。 そしてムキムキの“読書筋力”を手に入れた。 読書筋力がムキムキなって 結論として、「百年の孤独」を読めば読書スキルが格段に上がると言えよう。(もちろんサンプル数=1だ) この本を読んでからいくつかの本に触れたが、どこか以前よりも文章を理解するスピードが格段に速くなった。気がする、というレベルでは

    • 時間を売ることと資本主義│Notion AI小説

      僕はメモを「Notion」で取っている。 Notionは一般的にはメモアプリだか、その性能は他のメモアプリと似て非なるほど群を抜いて凄い。メモの枠組みを超えて、まるで自分のデータベースを構築しているかのようにすら思える。(実際にデータベースも作れるだろう) 少し上品な言葉でまとめると、「Notion」はリッチメモアプリである。僕はこれを使って小説の下書きを書いたり、思いついた書き出しやタイトルなどをジャカジャカ書いてたりしていて、ネタ帳的な使い方でも活用している。 つまり

      • 読者ファーストの翳りのある生活│「百年の孤独」を読む

        この前ある飲み会が催され、お酒を飲む素敵な機会があった。僕は終始生ビールを飲み続けた。 (生ビールはドリンカーの練度にあまり関わらず一定のパフォーマンスを発揮してくれるから良い) それなりに会話が弾み各人と仲良く話すこともでき、人間関係の交流の場としては有意義な飲みの場だったに違いない。みんなもきっとそう思っていただろう。 二時間が経ち、一次会解散のタイミングで二次会に行くかと誘われた。僕は咄嗟に出そうになった枕詞を慌てて引っ込めて、申し訳ないけど今日はこのへんで、とやん

        • 文化を持続させていくこと│#未来のためにできること

          本を読むこと。 映画を観ること。 音楽を聴くこと。 文章を書くこと。 これらは多くの人にとってカルチャー(文化)である。 もちろん絵画を鑑賞することもスポーツを観戦することも大切なことなのだけど、それらはあくまで十分条件であって、おそらく観念的にはサブカルチャーの類に当たる。そして先に述べた四項はカルチャーの必要十分条件である。 誤解を恐れずに持論を述べようと思う。 持ちうる偏見論:  カルチャーの衰退は国力を低下させる。 まず、本を読む文化が衰退したとする。 すると識

        「百年の孤独」を呼んだら読書筋力がムキムキになった│読書エッセイ

        マガジン

        • 短編小説
          5本
        • エッセイ
          11本
        • 創作大賞2024 応募作|黄金をめぐる冒険(連載小説)
          40本
        • 映画エッセイ
          5本
        • ITエンジニアとして
          5本
        • ラバーソウル(連載SF小説)
          6本

        記事

          「エドワード・ホッパーとその憂鬱」│短編

          素敵な本を読むと自分でも文章が書きたくなる衝動に駆られることがある。 良い物語は焚き火のように僕の想像力を掻き立てるし、良い文章は泉のように僕の書くべき言葉を沸き立たせた。でもそれらは別々の場所で勝手に行われる事象であって、全くもって僕の中で整合の取れないそれぞれの活動として生まれては消えることが多々だった。 僕は今読んでいる本にきちんと栞を挟み、机の上にそっと置いた。そのあと、本の角度が机と平行になるように本の端と端を微調整をしてきれいに整えた。 僕はパソコンを開き文章入

          「エドワード・ホッパーとその憂鬱」│短編

          オシャレは足元から│SF短編

          「オシャレは足元から」という啓蒙をある雑誌で読んだ。なるほど、オシャレをするなら足元から彩らなければならないのかと納得した。 早速明日は足元からオシャレを始めようと決めて、床に就いた。 翌朝目覚めると、私は「足元」になっていた。 これはどういうことかと首を傾げようとしたが、傾げる首が無いのでただ呆然とした。夢かもしれないと思い、もう一度寝ることにした。 だがやはり、もう一度目覚めても「足元」であったのには変わりなかった。 一旦状況を受け入れるために周囲を見回そうとしたが

          オシャレは足元から│SF短編

          積読(つんどく)主義の心得

          「積読主義」になってから三年が経った。 昔は一つの本を読んでから次の本を買うスタイルだったのだが、今ではその方針をやめて積読主義者を信仰している。 やめて良かったと強く思う。そのおかげでたくさんの本に出会えたし、毎日本を読もうと心掛けるようになったからだ。なので僕は「積読主義」を推奨したいし、そんな人々を応援したい。 ここでは大切な「積読主義」の心得を3つ紹介したい。 まず、積読主義とは何か? それは読んで字の如く、「積んどけばいつかは読む」という心持ちで本をとりあえず

          積読(つんどく)主義の心得

          【創作大賞2024応募】あとがき | 「応募作:黄金を巡る冒険」

          一つの目標があった。 それは目標と言うよりかは「憧れ」に近いかもしれない。 「27歳までに小説を一本書こう」 そう思った。 理由は簡単で、僕の敬愛する村上春樹氏が処女作である『風の歌を聴け』を27歳に書いたからなのだが、書き終わって充足の悦に浸っているとふと違和感が頭をよぎった。 もしかしたら、29歳だったかもしれない。 いや、そんなはずはないと思い調べてみるが、結果は以下であり、違和感の勝ちだった。(村上春樹氏は1949年生まれ) この目標(もしくは憧れ)は村上春樹

          【創作大賞2024応募】あとがき | 「応募作:黄金を巡る冒険」

          創作大賞2024 | 黄金を巡る冒険①

          晴れた日の午後だった。『炒飯』から連絡が来た。 「お久しぶりでございます。急なご連絡となり申し訳ありません。この度は『炒飯』を代表いたしましてあなた様にご連絡した次第です。決して怪しい勧誘や申し入れではございません。 ただ、あなた様に至急お願いがございますゆえ、お電話差し上げた所存です」 『炒飯』を代表いたしましてだって? どうして僕に『炒飯』なんかから連絡が来るんだ? それに『炒飯』とは何のことだ?  僕は受話器を片手に困惑した心持で呆気に取られていた。これはおそらく

          創作大賞2024 | 黄金を巡る冒険①

          【最終話】創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊴

          黄金を巡る冒険① 僕の手の中には一冊の本がある。 それは図書館の最後の一冊であり、多くの想いが募った凄く重みのある本だ。案山子くん、”孤独”、老人、管理人、それぞれの心がこの本に宿っている。 本は大昔に使われていた古代言語を格納(”孤独”はおそらく封印と訂正するだろう)する辞書のようなものだった。”孤独”は最後に僕に言っていた、”鍵”は彼女だと。 その意味を理論的に順序だてて理解することはできなかったが、直感的に僕が何をすればいいのかは理解できた。僕は失われた言葉たちをし

          【最終話】創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊴

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊳

          黄金を巡る冒険① 一匹の鳥が僕たちの前に止まった。 「あの方がお待ちしております。どうかご同行を」 そう言って鳥は、踵を返して頂上に向かって歩き出した。僕たちはその鳥の後をついていく。僕は老人と別れる前に、彼女には会えましたかと尋ねた。老人は杖で地面をとんとんと叩く。 よかった、そう言って僕たちは老人を後にした。 鳥の後を暫く歩いていくと徐々に視界が暗くなっていった。頂上はもうすぐだ。空には”闇”が掛かっていた。また少し歩くと、急に鳥が羽根を広げて空へと還って行った。そ

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊳

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊲

          黄金を巡る冒険① 記憶の中の彼女は幼い。 彼女は僕の家の近所に住んでいて、彼女の両親は仕事でいつも帰る時間が遅かった。僕も母子家庭という環境柄、母親は昼夜問わず一生懸命働いてあまり家に居なかったので、温もりの貧しい僕たちは、自然と一緒に居ることが多かった。 公園で遊んだり、近くの草むらで寝転んで一緒に本を読んだり、図書館で宿題をしたりして過ごした。その頃の僕は、彼女と一緒にいることが当たり前だと思っていたし、何をするにも彼女が隣にいてくれたから寂しいことなんて何一つ無かっ

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊲

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊱

          黄金を巡る冒険① 「九合目」には小さな白木の鳥居があった。 ”座標”から、それは”九合鳥居”という名前だと分かる。 九合鳥居の前には一立法メートルほどの白い岩があり、そこに老人が静かに座っていた。おそらく僕たちを待っていたのだろう。老人の人生には待つことが必然かのような風格があった。 老人の服装は前に見たときと変わらず上品な着こなしだった。上物の生地には砂埃一つ付いておらず、持っている杖の光沢具合も相変わらず輝かしい。とてもトラディショナルだ。妻のためにしっかり着込んで体

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㊱

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉟

          黄金を巡る冒険① ざっざっざっ、かつんかつんかつん。 僕たちはひたむきに走った。 ざっざっざっ、かつんかつんかつん。 鳥から逃げるために何よりも力強く。 バサバサバサ、ギャアギャアギャア。 鳥たちが血走り混ざった。 バサバサバサ、ギャアギャアギャア。 僕らを食べるために誰よりもすごく濃く。 闇鳥はすぐ傍まで迫っている。「九合目」まではあと僅かだった。だが、僕たちがそこにたどり着くよりも先に鳥が僕たちに追いつくだろう。諦めでも絶望的観測でもない。自明なのだ。 決定された未

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉟

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉞

          黄金を巡る冒険① 今の僕にはたくさんの仲間がいる。 案山子くん、”孤独”、短白髪の管理人。そして僕は無事に彼女を取り戻した。図書館にある全ての本を読み、未知の言語を理解して。 図書館の外で物凄い音が鳴った。建物が崩れ落ちるような瓦解音が図書館の内部に反響する。彼女はその轟音に驚き、涙を拭って顔を外に向けた。彼女の横顔が僕の目に映る。彼女の生命力に満ちた純白の横顔は、やはり綺麗だった。 「何かしら、凄い音がしたけど……」 彼女の空気を伝う音が僕の耳に届く。彼女の洗練された

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉞

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉝

          黄金を巡る冒険① 知っている言葉と知らない言葉。 残っている感覚と消え去った感覚。 覚えている記憶と忘れてしまった記憶。 浮かび上がる夢と奥底に沈んだ過去。 それらが連結し相互に作用していくことで、僕の中で一つの体系を成す。認識がどんどん曖昧になっていき、概念の色が白い空間の中でとろけるようにぼやっと滲んでいく。 そういえば”孤独”は何色だったのだろう。 *** 本を読み続けて一ヶ月が経とうとしていた。この期間で僕は多くの”失われた感覚”を学んだ。学ぶたびに僕の覚えて

          創作大賞2024 |黄金をめぐる冒険㉝